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障害者8団体と厚労省の勉強会報告・詳細版
(3月11日開催)
2004/03/18
 先週に引き続き、障害者8団体の話し合いを3月11日の午後4時より行った。

 前日の10日の午前中に障害者8団体の会合を持ち、各団体の検討の状況や厚労省との話し合いを今後どのように進めていくべきかを意見交換したところ、各団体とも判断するための必要な情報が不足しているという認識では共通し、それぞれの団体のもつ課題を集約して質問として厚労省に投げかけていくこととなった。

 この話し合いを受けて、事務局で「介護保険と障害者施策の統合に関する質問」「今後の障害者施策の基本的な方向性に関する質問事項」の2種類の質問書を作り、本日の話し合いで厚労省に提出することを確認した。

 午後5時からは、村木課長、間課長補佐をはじめとする障害福祉部と、老健局から渡辺企画官の出席のもとで話し合いを行った。

 最初に障害者団体側から、「これまで話し合いを続けてきたが、もう少し具体的な内容が見えてこないと判断をすることができない。障害者8団体の会員だけでなく、多くの障害者と関係者がこの議論に関心を持っている。8団体で現時点の課題について集約して質問書を作成したので、現段階での考えを示していただきたい。」と要望を述べるとともに、2つの質問書を提出した。
 ついで、JDの太田氏より「今後の障害者施策の基本的な方向性に関する質問事項」、DPIの中西氏より「介護保険と障害者施策の統合に関する質問」についての内容の説明を行った。

 これを受けて厚労省からは、障害者施策の基本的な方向性については、
・サービスの給付を世帯単位から個人単位に変えていくことについては、民法との関係があって障害者だけ個人単位にするということはすぐにはできないが、方向性としては日常的なサービスを利用する、負担することについては個人単位にじょじょにシフトしていくのではないか。個別法が変わる中で民法が変わるということもあるだろう。

・障害の定義については、個別の法律についてはその法の目的にあった形で障害を定義していくことが良いのではないか。これまでのように、障害者手帳にサービスが付随するのではなく、必要がある人にサービスを給付することが重要だと考える。

・所得保障については就労施策が重要であり、現在、厚生労働審議官をトップに省内で検討会を行っている。また、利用料負担についての低所得者対策はしっかりやるべきだと思う。無年金問題についても坂口大臣の私案もでて、現在検討している。

・住宅については所管の省庁と意見交換もしており、福祉のサポートについても明確にしながら、具体的に政策のイメージを固めていこうと動いている。

・総合福祉法については、三障害で同じ施策を進めていく中で、もっと具体的な法律が見えてくるのではないか。特に精神障害者の福祉が課題で、現実的な積み重ねをしていくことが必要ではないか。

 介護保険と障害者施策の統合に関する質問については、
・社会保障審議会の介護保険部会では被保険者の問題は4月末に議論する予定である。委員から障害者部会での議論について聞きたいという意見もでている。介護保険も自治体、健康保険、事業者などの様々な関係者がいる。今の段階で個々のサービスをどうするかは決まっていない。現行の15種類のサービスに加えて、「2015年の高齢者介護」の報告書にもあった痴呆性高齢者へのサービス、小規模・多機能サービスなども検討する。介護報酬報酬と関係するところが決まるのは2006年になる。

・理念の問題も、介護保険は「自立支援」がキーワードで始まったが、これからはそれに加えて「尊厳」をキーワードとしていく。要介護状態から抜け出すことだけでなく、介護サービスを受けながら日々の生活を過ごすことを考え要介護の状態での尊厳を支える方向で介護保険を見直していく。高齢と障害の目指すところは共通している。

・要介護認定についても、客観的なニーズ判定のシステムは必要であるが、その基準が変わらないかというと、去年も痴呆性高齢者に対応できるように変えている。障害にあったシステムを実証データをもとに段階的に作っていく。

・授産については日中活動の場から就労の場まで多様な活動をしている。その中身を整理して、介護保険だけでなく就労支援施策とも絡めて検討していくことになる。

・ガイドヘルプは重要な制度であり、使いやすさも含めてどのような形が良いのか考えている。ガイドヘルプだから、社会参加だから介護保険に入らないということではない。

・手話通訳については、通訳者の人材がいないという声もいただいていて、養成の問題とも関係している。

・精神障害者の医療と福祉の範囲については、今の精神障害者施策は、本来は福祉で支えるところまで医療で支えており、現在の精神医療の一部が介護保険に移ることもあるかもしれない。精神障害者のサービスの在り方を考え、地域に戻るためのしかけ、サービス体系を含めて見直しを図る。

・補装具や日常生活用具については議論が十分ではないが、補装具はそのかた個人にあうもので、介護保険は標準的なものをレンタルしている。現状でも個々人にあわせたものが必要な場合は補装具をだしている。

・団塊の世代が高齢者になってくると、高齢者も障害者と同じように権利として主張するようになる。今の障害者サービスのノウハウも高齢者に必要となり、サポートのレベルも変えていかないといけない。障害者の現場の実践の中で磨かれてきたものが高齢者のケアにいきると思う。
などの意見がだされた。

 今回議論できていない点も多くあり次回も質問書の事項について議論するとともに、さらに自立生活センターと高齢者生活協同組合とで行った共同調査の結果から障害者と高齢者のサービス利用の違いについても議論することとなった。

(編集人・三澤了(DPI日本会議))


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