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小規模作業所・通所授産施設の在り方懇談会
の報告書が公表されました
2004/04/22
  小規模作業所・通所授産施設などへの国としての今後の支援政策のあり方につきましては、日本身体障害者団体連合会など中央障害者8団体と国との間で「小規模通所授産施設及び小規模作業所等の今後の在り方に関する懇談会」を構成して検討を重ねてきました。
 このたび、この懇談会の報告書「小規模通所授産施設及び小規模作業所等の今後の政策の方向」が取りまとまり、厚生労働省から公表されました。
 報告書の内容は以下のとおりです。



「小規模通所授産施設及び小規模作業所等の今後の政策の方向」
(小規模通所授産施設及び小規模作業所等の今後の在り方に関する懇談会報告)


                                        平成16年4月20日

1 はじめに

  「小規模通所授産施設及び小規模作業所等の今後の在り方に関する懇談会」は、平成16年2月25日の開催以降、小規模通所授産施設及び小規模作業所について、当面の事業運営の弾力化等の検討及び中・長期的な観点からこれらの施設の今後の在り方について、関係8団体と厚生労働省障害保健福祉部がともに議論を重ねてきたところである。今般、その議論の結果について取りまとめた。

2 小規模通所授産施設及び小規模作業所等を取り巻く状況

  我が国の障害者施策は、1981年の国際障害者年以降、障害のある人もない人も同じように生活し、活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念のともに、「完全参加」と平等の目標に向けて進められてきたところである。

  平成14年12月には、障害の有無にかかわらず国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会を目指す新たな「障害者基本計画」が策定され、その前期5か年における重点実施施策等を定めた「新障害者プラン」の中では、障害者の地域生活への支援が明記され、精神障害者の分野においては、今後10年で7万2千人の入院患者の退院・社会復帰を目指すこととされている。

  現在は、このような地域生活の支援という政府の方針を具体化するべき時期に来ており、介護ニーズと共に日中活動の場や働く場をいかに確保し支えていくかが大きな課題である。

3 現状と課題等

 (1)小規模作業所

  小規模作業所は授産施設やデイサービス等の待機者を中心に、養護学校卒業者等に活動の場を提供するとともに、病院や施設を退院・退所した障害者や離職、失職した障害者が地域で生活するための受け皿としての役割を担っている。

  また、法制度外の仕組みとして運営されていることから、事業主体は多様であり、事業内容も福祉工場に近いタイプから、デイサービスに近いものまで混在しているのが現状である。一方、障害種別に関わりなく受け入れる等創意工夫による柔軟な事業実施も行われている。

  設置数は飛躍的に増大しつつあり、きょうされんの調査による設置箇所数の推移では、昭和60年度では1,167ヶ所であったものが、平成15年8月には6,025ヶ所となっており、近年は毎年300~400ヶ所程度の増と過去より増加幅が大きくなっている。

  その一方で、小規模作業所に対する国からの補助については、昨今の厳しい財政状況の下、平成15、16年度と、民間団体への補助金については、その1割に相当する額を削減するという政府全体の方針の下、予算の1割削減が行われた。

 (2)小規模通所授産施設

  小規模通所授産施設については、小規模作業所の運営の安定化を図るために平成13年度に創設された制度であり、その経緯から、小規模作業所の国庫補助箇所数の削減と同等以上の新規箇所数増を確保すべく箇所数増を図っているところである。しかしながら、平成16年度においては、制度創設時から据え置いてきた一箇所当たりの年間補助額1,100万円を1,050万円に引き下げざるを得ない状況となった。
  また他方で、投入される公費の水準に一般の授産施設と大きな格差があることについての見直しや、施設長の資格要件を設けることについての関係者からの声も強い。

4 今後の施策の基本的方向

 (1)中・長期的な在り方

  障害保健福祉施策や障害者の就労支援施策の今後の在り方について幅広い議論が行われている今、小規模通所授産施設や小規模作業所についても、障害のある方が身近な地域で暮らし、最も必要な支援を受けられる仕組みや国民全体でそうしたサービスを支える仕組みをどうするかという観点から、国民的な課題として議論し、障害者の地域生活を実現していくという大きな流れの中で、新しい仕組みについて考えていく必要がある。

  小規模通所授産施設、小規模作業所は授産施設やデイサービス等の待機者を中心に、養護学校卒業者等に活動の場を提供するとともに、病院や施設を退院・退所した障害者や離職、失職した障害者が地域で生活するための受け皿としての重要な役割を担っており、また、障害者やボランティアの交流の接点になる等、障害者の社会参加や地域での当事者同士の助け合いの起点、支え合いの場としても機能し、啓発の面でも大きな役割を果たしている。

  そうした現状を踏まえ、今まさに必要とされているのは、小規模通所授産施設、小規模作業所についての、こうした地域に根ざした活動を行う拠点としての機能を正面から受け止め、評価することである。そのためには施設体系の在り方等の議論の中で、その機能に相応しい位置付けを適切に行っていく必要がある。

  そして、これらの施設については、利用している障害者の状況や、果たしている機能に応じて、できる限り多くのところが、施設体系の在り方等の議論の中において今後求められていく形態により、整理・分化がされるようにすべきである。

  その場合に、これらの施設を利用している障害者が、施設の移行にあわせて移行するのではなく、障害者自身のニーズや就労能力等に応じて、それぞれが適切に整理・分化した後の施設の利用ができるようにすることが必要である。

  施設の移行にあたっては、新たな形態に円滑に、また無理なく移行ができるよう、必要な経過措置等を設けることが必要であり、また移行する期間についても、ある程度余裕を持って設定されることが望ましい。ただし、これは個々の施設が一度移行した形態に将来に渡って固定されることを意味するものではなく、対象者群の変化などに応じて他の形態に移ることを妨げるものではない。

  また、施設体系の在り方等を議論していく過程においては、地域の特性等を踏まえた柔軟な運営が可能となるよう、小規模・多機能化を可能とすることの検討と併せて、提供されるサービスの質を確保しながら、その果たしている機能に着目した適切な補助の在り方についての検討が必要である。なお、以上のような方向性を推進していくためには、障害者自身の就労能力等に対する客観的な評価を行うシステムや、総合的な相談体制を確立する必要がある。

 (2)当面の見直しの在り方

  1) 小規模通所授産施設の経営を目的とした法人を設立する際、小規模通所授産施設の用に供する不動産または1千万円以上に相当する資産が必要とされているが、事業の規模・内容、継続性・安定性も勘案しつつ、その在り方について検討する。

  2) 今後新規で小規模作業所から小規模通所授産施設への移行を認めるにあたっては、継続的な就労の場や一般就労に向けた訓練の場など現行の通所授産施設の持つ機能に照らして一定の成果を上げていること、または、これに加えて、通所授産施設が持つ本来の機能ではないが、重度障害者の日中活動の場として一定の成果を上げていることを新たな要件とすることを検討する。


(参考)

小規模通所授産施設及び小規模作業所等

の今後の在り方に関する懇談会参集者

 

                              (五十音順、敬称略)

   ○ きょうされん

   ○ 全国社会就労センター協議会

   ○ 財団法人 全国精神障害者家族会連合会

   ○ 社会福祉法人 全国精神障害者社会復帰施設協会

   ○ NPO法人 全国精神障害者地域生活支援協議会

   ○ 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会

   ○ 社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会

   ○ 財団法人 日本知的障害者福祉協会



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