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厚労省が実施した自立支援法調査結果に疑問点 2006/11/03
  厚生労働省が10月23日に公表した障害者自立支援法の実施状況に関する実態調査の結果(以下に概要版を掲載)が、各方面に少なからぬ混乱を招いています。
 これは、障害者自立支援法が10月1日から完全施行されたのに伴い、全国26の都道府県が明らかにしている調査結果を、同省で取りまとめたものです。ただ、統一した形式・調査項目でおこなわれたものではありません。そのため、ベースとなる数値の算出をしようとしても、全国規模で見た場合に全体の実体の把握は難しくなっています。障害の程度や種別の特性などを加味しているものでもありませんので、結果として、信頼性を欠いたデータとなっています。
 一例を示しますと、今回の調査結果では、利用者負担を理由にサービスの利用を中止した人の割合(14都道府県の単純平均値)が「0.39%」と発表されています。都道府県数は全部で47あるにもかかわらず、その3分の1にも満たない数のデータをもって、厚労省はあたかも「全体的な実態」であるかのような説明を繰り返しています。
 別の民間団体が同じ質問項目で調査をおこなったところ、1.5%近く高い数値が出されています。こうした点を考慮しても、今回の同省による実施状況の結果については、冷静な視点をもって捉える必要があると言わざるを得ません。 
 また、国では2006年度中に次回の法改正に向け、障害程度区分の見直しなどに絡む実態調査をおこなう予定にしています。地域で自立した生活を営む障害者の実情に即した、きめ細かな対応が切に望まれるところです。


(資料)

「障害者自立支援法の実施状況について(概要版)」(厚労省公表)

1.介護給付費等の状況
①定点市町村における平成18年6月分の障害福祉サービスに要する費用は、前年同月比で2・5%の増加となっており、全体のサービス量が増えている。
②居宅、通所、入所ともに増加しているが、特にグループホームは、16・6%の増加と、「地域移行」を進める上で中核となるサービスとして着実に伸びている。

2.サービス利用に関する実態
 サービス利用の実態について調査を行い、結果を公表している26都道府県における状況を厚生労働省において取りまとめたところ結果は以下のとおり。
①利用者負担を理由とした利用の中止
  通所・入所施設等において、利用者負担を理由に退所した者(調査対象期間中の累計)の利用者数等に対する割合は、14都道府県の単純平均で0・39%(1月当たりでみれば0・13%)。これを各月ごとにみると、月を追うごとに退所者が減少する傾向にある。
②利用控え
  通所日数を減らすなどの利用控えの割合(複数月の累計)については、調査をおこなっている4県で0・6%~2・0%(単純平均値は1・05%(1月当たりでみれば0・32%))。
③合計利用者数の推移
  利用者数について調査を行っている県の状況をみると、利用者は増加している。

3.所得階層区分の認定状況、負担上限等の減免状況
 平成18年6月末現在の定点市町村における所得階層区分の認定状況、負担上限額等の減免・軽減状況をみると、以下のとおりである。
①施設入所者の9割以上が、生活保護(負担なし)、低所得1(1万5000円の月額上限)又は低所得2(2万4600円の月額上限)となっており、低い上限額の認定を受けているほか、68・0%が、個別減免等を受けている。
②グループホームについては、利用者の68・1%が個別減免等を受けている。



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