平成30年度(2018年度) 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 事業計画 基本方針:  昭和33年に日本身体障害者団体連合会(以下、日身連という)が創設され、本年で60年を迎える。長年にわたり取り組んできた障害者の自立と社会参加の一層の促進に努める。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会を契機として、障害に対する社会の関心が高まるなか、障害の理解促進と社会的障壁の除去等をもとに、誰もが暮らしやすい社会づくりを実現する大きな変革の機会と期待される「ユニバーサルデザイン2020行動計画」の施策が着実に実行されるよう、中央省庁に対し、働きかけていく。また、行動計画が推し進めている“心のバリアフリー”が地域に根づくよう、全国組織のネットワーク力をいかし、加盟団体と協働した活動に努める。  障害関連の施策の促進にむけ、中央省庁等で行われる施策等の検討の場において地域の声を届け、そして、地方行政に反映されるよう働きかけていく。  財政の安定化と組織強化については、「日身連財政の安定化に対する検討委員会」(以下、財政委員会という)及び「日身連組織体制強化及び障害者施策等に関する検討委員会」(以下、組織・施策等委員会という)において、加盟団体の意向等を踏まえたなかで検討を進め、社会福祉法人に求められる地域福祉の向上に寄与できるよう努めていく。  一方、災害時における障害者支援等については、東日本大震災や熊本地震等の教訓が生かされた支援対策が講じられるよう、引き続き、課題解消に向けて、国等へ働きかけていく。また、近年の大きな水雪害等に対しても、障害者に困難な状況が生じないよう、被災地域の加盟団体はじめ全国の加盟団体と連携し、情報共有とともに、国等への働きかけに取組んでいく。  この基本方針を基に、以下のとおり、平成30年度における事業を実施し、日身連ならびに加盟団体の一層の充実を図る。   日身連の主な事業: 1. 『第63回日本身体障害者福祉大会ぐんま大会』の開催  日身連ならびに群馬県身体障害者福祉団体連合会主催により全国から約3千人の参加者を迎え、高崎アリーナ(群馬県高崎市)等において、平成30年6月13日(水)、14日(木)の2日間にわたり全国大会を開催する。大会初日に定時評議員会及び政策協議(講演及びシンポジウム)、2日目には議事(大会決議、大会宣言等)及び功績者への日身連会長表彰等の大会式典を盛大に行う。   2. 国及び政党等に対する要請行動並びに審議会等への積極的参画 (1) 障害者権利条約を反映した障害者施策の着実な実施にむけ、引き続き、内閣府障害者政策委員会や厚生労働省社会保障審議会障害者部会をはじめ、関係府省庁の委員会や検討会等において加盟団体等からの要望等を踏まえ、意見具申に努めるとともに、会議の動向や障害者関連の施策等については加盟団体と情報の共有を図る。 (2) 2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催にむけ、府省庁や組織委員会等関係機関で行われている委員会等においては、委員等として参加し、障害当事者の視点から提案提言を行う。 (3) 国への『日身連要望事項』については、要望事項の実施実現をめざし、組織・施策等委員会を中心に要望事項の取りまとめに向けた検討を行う。また、要望事項に対する関係省庁からの回答については、冊子にまとめ、加盟団体へ配布する。 (4) 緊急を要する事項については、迅速かつ適切に対応ができるように会長を中心に取り組んでいく。なお、継続して要望活動を行っている事項(心身障害者用低料第三種郵便物制度の要件問題)については、日本障害フォーラム(JDF)及び全国障害者団体定期刊行物協会連合会と連携して、現況の問題解決にむけ、総務省、厚生労働省及び郵便事業株式会社との協議交渉に努める。 (5) そのほか、内閣府、厚生労働省及び国土交通省等が開催する委員会並びに研究会や民間事業者等からのアンケート調査等にも協力し、障害者施策の促進と障害理解の啓発のために積極的に取り組む。 3. 災害時における対応について  災害時における避難及び支援体制等に関しては、課題の積み残しがあることから、その解消あるいは改善にむけ、障害者の意見要望が適切に反映されるよう、引き続き、国及び政党に対して要望を行う。  また、加盟団体が災害に見舞われた場合を想定し、万全に対応(対処)できるように検討を行っていく。 4. 中央障害者社会参加推進センター事業の拡充 (1) 障害者の人権保障や障害を理由とする差別の禁止、合理的配慮の提供に関する理解促進にむけ周知啓発に努める。 (2) 障害者の権利擁護事業を目的とする障害者110番事業については、相談事業担当者のスキルアップにむけた研修のほか最新情報の提供や意見交換、交流の場のための研修会を東京都内において開催する。 (3) 障害者の社会参加の促進にむけた意見交換や交流を目的に、中央障害者団体及び学識経験者等で構成される中央障害者社会参加推進協議会(14団体)及び中央障害者社会参加推進協議会部会(11団体)合同委員会を東京都内において開催し、事業の拡充に努める。 (4) そのほか、中央ならびに地方障害者社会参加推進センター事業のネットワークの強化とともに、事業の活性化を図る。 5. 障害者相談支援事業の充実 (1) 障害者相談員のスキルアップや情報交換の場の提供は、個々の相談活動を支援する上で重要であり、6ブロックで開催する障害者相談員研修会への助成と、府省庁等からの講師派遣を行い事業の向上に努める。そのほか、加盟団体が開催する研修会への講師派遣についても依頼にもとづき協力する。 (2) 身体障害者相談員全国連絡協議会会員にむけた会報(年1回)を発行し、相談活動の一層の向上にむけて障害関連の制度や日身連の活動の情報提供に努める。 (3) 「個人情報保護」(行政が収集管理)の開示にかかる問題については、引き続き、障害者相談員の活動が充実できる環境と、相談員活動の活性化をめざし、身体障害者相談員全国連絡協議会、正副会長会及び組織・施策等委員会と連携し課題解消に努める。 6. 障害及び障害者理解の啓発促進 (1) ユニバーサルデザイン2020行動計画(ユニバーサルデザイン2020閣僚会議決議)の閣議決定から1年余が経過するなかで、オリンピック・パラリンピック東京大会にむけ、障害理解に対する機運が高まっている機会を得て、障害者への社会的障壁を取り除くのは社会の責務という「障害の社会モデル」の考え方を啓発し、さらに心のバリアフリーの考えが地域に広まるよう、加盟団体と連携した啓発活動を進める。 (2) 障害者差別解消法に対する国民的理解が深まるよう、加盟団体、関係団体及び行政機関等と連携し事業活動に取り組む。 (3) 障害者差別禁止条例が全国の自治体で成立されるよう、引き続き、加盟団体等の要望を踏まえ取り組んでいく。 7. 日身連の基盤強化  最重要課題である日身連の財政安定化及び組織体制強化については、2つの検討委員会を中心に検討が行われているところであり、年度内に一定の課題解消にむけた提案がなされるように努める。  また、社会福祉法人制度改革から1年が経過するなかで、社会福祉法人として一層の地域社会への貢献が求められていることから、日身連の活動が社会に認知されるようさらに努力していく。また、ユニバーサルデザイン2020行動計画が、関係省庁及び地方自治体において着実に実施されるために加盟団体と連携し取組んでいく。 (1) 財政基盤の強化 財政委員会において、理事会及び評議員会の意見や提案を踏まえ、中長期の安定的な財政基盤の構築にむけた検討を行う。 (2) 政策体制の強化 組織・施策等委員会を中心に、府省庁の審議会等で検討されている事案やハード及びソフト面に関するバリアフリー関連の事柄について適切に対応できるよう、加盟団体等や関係団体等と連携を図り、情報共有に努めていく。また、評議員会で継続審議となった議案(会長の報酬、理事定数、評議員定数)については、各加盟団体の意見等を含め議論し、評議員会の議案提出をめざす。 8. ホームページ及び機関紙の充実  ホームページ及び機関紙『日身連』を通し、一層の読者を獲得できるように、日身連及び加盟団体の事業活動を広く周知していくとともに、障害者関連の施策動向等も幅広い情報の提供に努める。  また、機関紙『日身連』(毎月8千部発行)については、日身連が関わる国等における障害関連の動きをあますことなく伝えるとともに、加盟団体の活動(障害者週間の行事紹介やその他関連記事)を紹介する等、全国的な活動が情報提供できるように紙面の充実を図るとともに、賛助会員の入会促進に努める。   9. その他の関連事業 (1) 日本障害フォーラム(JDF・代表:阿部一彦)関連事業 JDFの活動に連携協力し、国内外の障害者関連の諸課題に取り組んでいく。また、障害者権利条約のパラレルレポート作成作業が本格的に始まることから、国連障害者権利委員会の審議過程を注視するとともに、JDFの中核的存在として役割を果たしていく。 (2) 全国社会福祉協議会障害関係団体連絡協議会(会長:阿部一彦)関連事業 障害分野に関するさまざまな課題や検討事項等について、障害関係団体連絡協議会内でしっかり取り組めるよう、協議会の取りまとめ役として協議会の発展のために努める。 1