2019年度 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 事業計画 基本方針:  日本身体障害者団体連合会(以下、「日身連」という。)は、障害者権利条約批准による障害分野に関わる国内法制の整備が障害者参画のなかで進められ、また、東京オリンピック・パラリンピック大会を契機として共生社会実現への指標として示された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」(以下、「UD行動計画」という。)が、障害者権利条約の理念を反映し、総合的かつ一体的な障害者施策の一層の促進となるよう国等に対し積極的に働きかけていく。  また、昨年度から開催されたユニバーサルデザイン2020評価会議において、UD行動計画の進捗状況の把握とともに、必要な課題改善に関する提案がなされ、関係各省での施策の検討と改善等の措置が図られるよう、意見具申に努める。  さらに、地域に障害理解が根づくことを目的として、加盟団体及び他の障害関係団体と連携した活動の実施に努める。  財政の安定化及び組織強化については、「日身連財政の安定化に対する検討委員会」(以下、財政検討委員会という)と「日身連組織体制強化及び障害者施策等に関する検討委員会」(以下、組織・施策等検討委員会という)において、加盟団体の意向を踏まえながら、引き続き、検討を進め、社会福祉法人の責務として地域福祉の向上に寄与する。  災害時における障害者支援等に関しても、東日本大震災等の大規模災害の記憶が風化することなく、教訓が生かされた支援対策が講じられるよう、引き続き、国等へ働きかけていくとともに、防災減災にむけた国や地方自治体の取組に対しては、障害の特性を理解し困難な状況(環境)を生じさせない対応が講じられるように意見・提案に努める。  この基本方針を基に、以下のとおり、2019年度における事業を実施し、日身連ならびに加盟団体の一層の充実を図る。   日身連の主な事業: 1. 『第64回日本身体障害者福祉大会あきた大会』の開催  日身連ならびに秋田県身体障害者福祉協会主催により全国から約2千人の参加者を迎え、秋田県立武道館(秋田県秋田市)等において、2019年5月22日(水)、23日(木)の2日間にわたり全国大会を開催する。大会初日に定時評議員会及び政策協議(講演及びシンポジウム)、2日目には議事(大会決議、大会宣言等)及び功績者への日身連会長表彰等の大会式典を盛大に行う。   2. 国及び政党等に対する要請行動並びに審議会等への積極的参画 (1) 障害者権利条約を踏まえ障害者施策の促進が進められている中、引き続き、内閣府障害者政策委員会や厚生労働省社会保障審議会障害者部会をはじめ、中央府省庁の委員会や検討会等において加盟団体の要望を踏まえつつ、意見具申に努めるとともに、会議の動向や障害者関連の施策等について、加盟団体に対しHP(会員専用)等を通し、最新の情報共有に努める。 (2) 2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催にむけ、昨年度、ユニバーサルデザイン2020評価会議が開催されたことから、ユニバーサルデザイン2020行動計画に明示された施策の一層の促進にむけ、構成員として意見要望を行っていく。 (3) 国への『日身連要望事項』については、要望事項の実施実現をめざし、組織・施策等検討委員会を中心に要望事項の取りまとめに向けた検討を行う。また、要望事項に対する関係省庁からの回答を冊子にまとめ加盟団体の活動の一助として配布し、情報の共有を図る。 (4) 緊急を要する事項については、迅速に対応することを常とし、会長を中心に取り組んでいく。心身障害者用低料第三種郵便物制度の要件問題等の継続要望事項については、日本障害フォーラム(JDF)及び全国障害者団体定期刊行物協会連合会と連携して、現況の問題解決にむけ、総務省、厚生労働省及び郵便事業株式会社との協議交渉に努める。 (5) そのほか、内閣府、厚生労働省及び国土交通省等が開催する委員会並びに研究会、さらに民間企業等からのアンケート調査等にも協力し、障害者施策の促進と障害理解の周知啓発のために積極的に取り組む。 3. 災害時における対応について  昨年は、平成30年7月豪雨や北海道胆振東部地震が発生し甚大な被害があったことから、支援金の協力を呼びかけるとともに、国や与党に対して被災した障害者への対応や行政と地域が一体となった地域防災計画の強化を求めてきたところである。被災経験者の提案や取組の好事例等を参考に、障害の多様性を捉え、災害時における課題解消にむけた取り組みが図られるよう、引き続き、国及び政党に対する要望に努める。 4. 中央障害者社会参加推進センター事業の拡充 (1) 障害者の人権保障や障害を理由とする差別の禁止、合理的配慮の提供に関する理解促進にむけて、一層の周知啓発とともに、研修にむけた企画提案を行う。 (2) 障害者の権利擁護事業を目的とする障害者110番事業については、相談事業担当者のスキルアップにむけた研修のほか最新情報の提供や意見交換、交流の場のための研修会を東京都内において開催する。 (3) 障害者の社会参加の促進にむけた意見交換や交流を目的に、中央障害者団体及び学識経験者等で構成される中央障害者社会参加推進協議会(14団体)及び中央障害者社会参加推進協議会部会(11団体)合同委員会を東京都内において開催し、事業の拡充に努める。 (4) 障害者相談員のスキルアップや情報交換、研修の場の重要性に鑑み、引き続き、6ブロックで開催する障害者相談員研修会への助成と府省庁等からの講師派遣を行い事業の充実を図る。また、加盟団体が開催する研修会等への講師派遣については、依頼にもとづき調整等の協力を行う。 (5) そのほか、中央ならびに地方障害者社会参加推進センター事業のネットワークの強化とともに、事業の活性化を図る。 5. 障害者相談支援事業の充実 (1) 障害者相談員のスキルアップや情報交換、研修の場の重要性に鑑み、引き続き、6ブロックで開催する障害者相談員研修会への助成と府省庁等からの講師派遣を行い事業の充実を図る。また、加盟団体が開催する研修会等への講師派遣については、依頼にもとづき調整等の協力を行う。(再掲) (2) 障害者差別解消法の一層の理解促進を図るとともに、『心のバリアフリー』の啓発活動を推進していく。特に、『心のバリアフリー』の理解促進にむけ、各加盟団体が地域へ発信できるようにDVD(内閣官房作成)を活用した研修方法を共有し、活動の強化に努める。 (3) 身体障害者相談員全国連絡協議会会員にむけた会報(年1回)を発行し、相談活動の一層の向上にむけて障害関連の制度や日身連の活動の情報提供に努める。 (4) 「個人情報保護」(行政が収集管理)の開示にかかる問題については、引き続き、障害者相談員の活動が充実できる環境と、相談員活動の活性化をめざし、身体障害者相談員全国連絡協議会、正副会長会及び組織・施策等検討委員会と連携し課題解消に努める。 6. 障害及び障害者理解の啓発促進 (1) 日身連も委員会に参画し作成に協力した心のバリアフリーを学ぶアニメーション動画(内閣官房)を教材に、加盟団体が率先して取り組めるプログラムの検討とともに、全国6箇所で研修会を行い、心のバリアフリーに対する認識及び理解の周知啓発を図る。 (2) 障害者差別解消法に対する国民的理解が深まるよう、加盟団体、中央障害者社会参加推進センター、関係団体及び行政機関等と連携し事業活動に取り組む。 (3) 東京オリンピック・パラリンピック大会を契機に、障害理解への関心がさらに高まっていることから、民間企業との連携も視野に障害に対する理解啓発の取り組みに努める。 (4) 障害者差別禁止条例が全国の自治体で成立されるよう、引き続き、加盟団体等の要望を踏まえ取り組んでいく。 7. 日身連の基盤強化  最重要課題である日身連の財政安定化及び組織体制強化については、2つの検討委員会(財政検討委員会及び組織・施策等検討委員会)を中心に検討が行われている。2019年3月を目途に示される委員会報告をもとに、後退が生じないような団体運営と組織体制の強化を図っていくとともに、社会福祉法人としての活動に努め、日身連の一層の発展をめざして、課題解消にむけた検討を進めていく。 (1) 財政基盤の強化 財政検討委員会において、日身連の健全な財政と安定的な運営をめざし、また、理事会及び評議員会の意見、提案を踏まえて、中長期の安定的な財政基盤の構築を進めていく。 (2) 政策体制の強化 組織・施策等検討委員会を中心に、障害者施策に関し、府省庁等で協議検討される事案について適切に対応していく。また、加盟団体や関係団体等との連携強化を図りつつ、情報共有に努めていく。 評議員会で継続審議となった議案(会長の報酬、理事定数、評議員定数)に関し、必要とされる検討事項に対する提案の取りまとめを行う。 8. ホームページ及び機関紙の充実  ホームページ及び機関紙『日身連』を通し、一層の読者獲得をめざすとともに、加盟団体専用サイトの充実を図っていく。特に、情報共有については、加盟団体からの情報提供をもとに、加盟団体間相互の情報収集が図れるよう努める。  機関紙『日身連』(毎月8千部発行)については、日身連の活動を届けることに努め、国等の障害関連の動きについて遅滞なく情報提供していく。また、加盟団体の事業活動(障害者週間の行事やその他関連記事)の紹介を含め、日身連及び加盟団体の活動を広く発信し紙面の充実を図るとともに、新規支援者や賛助会員の入会等の促進に努める。   9. その他の関連事業 (1) 日本障害フォーラム(JDF・代表:阿部一彦)関連事業 JDFの活動に連携協力し、国内外の障害者関連の諸課題に取り組んでいく。また、障害者権利条約のパラレルレポートの取りまとめや国連障害者権利委員会の審議過程において協力し、JDFの中核的存在としての役割に努める。 (2) 全国社会福祉協議会障害関係団体連絡協議会(会長:阿部一彦)関連事業 障害分野に関するさまざまな課題や検討事項等について、障害関係団体連絡協議会内でしっかり取り組めるよう、協議会の取りまとめ役として協議会の発展のために努める。