令和2(2020)年度 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 事業計画 基本方針:  本年度は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「オリパラ」という。)とともに、障害者権利条約の国別審査の年を迎える。障害理解の啓発が一層促進されるなかで、ユニバーサルデザイン2020行動計画(以下、「UD行動計画」という。)がめざす地域共生社会の実現にむけ、日本身体障害者団体連合会(以下、「日身連」という。)は、全国の障害関係団体の中軸として積極的に取り組んでいく。特に、障害者施策の促進を図ることはもとより、バリアフリー施策や心のバリアフリーに係る国等の動向に注視するとともに、地域社会へ障害に対する理解啓発の促進が図れるよう、加盟団体と協力・連携した活動に努める。  大規模災害に対する防災減災に関しては、引き続き、当事者参画の推進と障害の多様性や地域の特性を踏まえた体制整備にむけ働きかけていく。  財政の安定化及び組織強化については、「日身連財政の安定化に対する検討委員会」(以下、財政検討委員会という)並びに「日身連組織体制強化及び障害者施策等に関する検討委員会」(以下、組織・施策等検討委員会という)において、加盟団体の意向等を踏まえたなかで課題解消に向け取り組んでいく。  この基本方針に基づき、以下のとおり、令和2年度における事業を実施し、日身連ならびに加盟団体の一層の充実を図るとともに、社会福祉法人の責務として地域福祉の向上に努める。   日身連の主な事業: 1. 『第65回日本身体障害者福祉大会ひろしま大会』の開催  日身連並びに広島県身体障害者団体連合会、広島市身体障害者福祉団体連合会主催により全国から約2千人の参加者を迎え、広島県立総合体育館グリーンアリーナ(広島県広島市)等において、6月3日(水)、4日(木)の2日間にわたり全国大会を開催する。大会初日には定時評議員会及び政策協議(講演及びシンポジウム)、2日目には議事(大会決議、大会宣言等)及び功績者への日身連会長表彰等の大会式典を盛大に行う。   2. 国及び政党等に対する要請行動並びに審議会等への積極的参画 (1) 内閣府障害者政策委員会や厚生労働省審議会はじめ府省庁の委員会や政党の会合等において、加盟団体の要望等を踏まえ意見具申に努める。また、障害者関連の施策等の情報が遅滞なく把握できるように、日身連ホームページ(加盟団体専用サイト)や機関誌等を通し、加盟団体へ情報を提供する。 (2) 国への『日身連要望事項』については、要望事項の実施実現をめざし、組織・施策等検討委員会を中心に取り組んでいく。府省庁からの回答を冊子にまとめ、加盟団体へ配布する。 (3) オリパラのレガシーともなるUD行動計画が反映された障害者施策等の見直しが、さらに加速して促進されるように国等の会議の場を通し働きかけていく。 (4) 緊急を要する事項については、迅速に対応できるよう、会長を中心に正副会長会あるいは検討委員会と連携し取り組む。また、心身障害者用低料第三種郵便物制度の要件問題等の継続要望事項については、日本障害フォーラム(JDF)及び全国障害者団体定期刊行物協会連合会と連携して、現況の問題解決にむけ取り組んでいく。 (5) 障害者施策の促進と障害理解の周知啓発にむけ、府省庁が開催する委員会や研究会のほか、民間事業者のアンケート調査等への協力にも努める。 3. 災害時における対応について  近年、大規模な自然災害が発生していることから、災害が発生した時は、日身連災害対策本部を中心に「大規模災害における日身連の対応方針」により適切に対応していくとともに、被災した障害者及び加盟団体等関係団体の避難生活等における課題解消に向け、適時、国等への働きかけに努める。 4. 中央障害者社会参加推進センター事業の拡充 (1) 障害者の人権保障や障害を理由とする差別の禁止、合理的配慮の提供に関する理解促進にむけて、一層の周知啓発とともに、研修にむけた企画提案を行う。 (2) 障害者の権利擁護事業を目的とする障害者110番事業については、相談事業担当者のスキルアップにむけた研修のほか最新情報の提供や意見交換、交流の場のための研修会を東京都内において開催する。 (3) 障害者の社会参加の促進にむけた意見交換や交流を目的に、中央障害者団体及び学識経験者等で構成される中央障害者社会参加推進協議会(14団体)及び中央障害者社会参加推進協議会部会(11団体)合同委員会を東京都内において開催し、事業の拡充に努める。 (4) 障害者相談員のスキルアップや情報交換、研修の場の重要性に鑑み、引き続き、6ブロックで開催する障害者相談員研修会への助成と府省庁等からの講師派遣を行い事業の充実を図る。また、加盟団体が開催する研修会等への講師派遣については、依頼にもとづき調整等の協力を行う。 (5) そのほか、中央ならびに地方障害者社会参加推進センター事業のネットワークの強化とともに、事業の活性化を図る。 5. 障害者相談支援事業の充実 (1) 障害者相談員のスキルアップや情報交換、研修の場の重要性に鑑み、引き続き、6ブロックで開催する障害者相談員研修会への助成と府省庁等からの講師派遣を行い事業の充実を図る。また、加盟団体が開催する研修会等への講師派遣については、依頼にもとづき調整等の協力を行う。(再掲) (2) 障害者差別解消法の一層の理解促進を図るとともに、『心のバリアフリー』の啓発活動を推進していく。また、昨年度実施した『心のバリアフリー啓発プログラム研修』を踏まえ、さらに心のバリアフリーに対する理解啓発が地域に拡がるよう、加盟団体等と連携協力し取り組んでいく。 (3) 身体障害者相談員全国連絡協議会会員にむけた会報(年1回)を発行し、相談活動の一層の向上にむけて障害関連の制度や日身連の活動の情報提供に努める。また、障害者相談員向けハンドブック(『障害者相談活動のあり方・すすめ方』改訂版)を刊行し、相談活動の向上とともに、障害者相談員の周知に努める。 (4) 「個人情報保護」(行政が収集管理)の開示にかかる問題については、引き続き、障害者相談員の活動が充実できる環境と、相談員活動の活性化をめざし、身体障害者相談員全国連絡協議会、正副会長会及び組織・施策等検討委員会と連携し課題解消に努める。 6. 障害及び障害者理解の啓発促進 (1) 障害者権利条約の国別審査に関し、日本障害フォーラム(JDF)と連携協力し、パラレルレポートの作成や審査の傍聴のほか、総括所見等について情報共有や研修に努める。 (2) 障害者差別解消法に対する国民的理解が深まるよう、加盟団体、中央障害者社会参加推進センター、関係団体及び行政機関等と連携し事業活動に取り組む。 (3) オリパラを契機に、障害理解への関心がさらに高まっていることから、民間企業との連携も視野に障害に対する理解啓発の取り組みに努める。 (4) 障害者差別禁止条例が全国の自治体で成立されるよう、引き続き、加盟団体等の要望を踏まえ取り組んでいく。 7. 日身連の基盤強化  最重要課題の財政の安定化と組織体制強化に関しては、2つの検討委員会/財政検討委員会、組織・施策等検討委員会を中心に、社会福祉法人としての活動を軸に日身連の一層の発展をめざして取り組んでいく。 (1) 財政基盤の強化 自主財源確保のため、昨年度から開始した協賛広告(機関紙『日身連』掲載)の目標枠数の達成にむけ、さらに取り組むとともに、財政検討委員会を中心に財政基盤の安定化にむけ、長期的視点に立って取り組んでいく。 (2) 政策体制の強化 組織・施策等検討委員会を中心に、府省庁等における障害者施策等に関する協議検討事案について適切に対応していくための体制強化の取組や、加盟団体や関係団体等との連携強化を図り情報の共有に努める。また、理事会ならびに評議員会の承認を受け、理事及び副会長の定数見直しについて対応していく。 8. ホームページ及び機関紙の充実  ホームページ及び機関紙『日身連』(毎月8千部発行)を通し、日身連の活動状況の発信にとどまらず、国等の障害関連の動きについて遅滞なく情報を提供していく。また、加盟団体の事業活動(障害者週間の行事やその他関連記事)等含め、日身連及び加盟団体の活動を社会に発信し紙面の充実を図るとともに、新規読者や賛助会員等の獲得に努める。  ホームページにおいては、情報発信にとどまらず、加盟団体間相互の情報収集が図れるよう、加盟団体専用サイトの充実に努める。   9. その他の関連事業 (1) 日本障害フォーラム(JDF・代表:阿部一彦)関連事業 JDFの活動に連携協力し、国内外の障害者関連の諸課題に取り組んでいく。また、障害者権利条約の国別審査が予定されていることから、その対応にむけた活動に連携する等、JDFの中核的存在として協力に努める。 (2) 全国社会福祉協議会障害関係団体連絡協議会(会長:阿部一彦)関連事業 障害分野に関するさまざまな課題や検討事項等について、障害関係団体連絡協議会内でしっかり取り組めるよう、協議会の取りまとめ役として協議会の発展のために努める。