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2003年度(平成15年度)
社会福祉法人日本身体障害者団体連合会
事  業  計  画
2003/03/28

  

                                               ま え が き

 本年2003年は、「障害者にとっての21世紀の幕開けの年」と言われている。
 国際的には、障害者の権利条約制定に向けた国連の動きが本格化する年となり、実現に向けた青写真を描くことができるのかどうか重要な年である。
そして、昨秋、滋賀県大津市で開催された国連アジア太平洋経済社会委員会主催・「アジア太平洋障害者の十年」最終年ハイレベル政府間会合では、各国・地域の政府や関係者が取り組むべき障害者政策・行動計画「びわこミレニアム・フレームワーク」が採択された。本年は「新・アジア太平洋障害者の十年」のオープニング・イヤーであり、RNN(アジア太平洋障害者の十年推進NGO会議)に代わる新しい組織・APDF(アジア太平洋障害者フォーラム)が結成された。
日身連は、世界の中で重要な位置にあるわが国日本を代表する障害者団体の雄として国際活動機能を高め、世界の障害者施策推進をリードする責任感をもって期待される役割を十全に果たしていかねばならない。
 国内では、支援費制度が本年4月1日より施行された。「措置」から「契約」へ、障害者が自らの利用するサービスを選択できることを大きな特徴としている制度だが、国や地方自治体の深刻な財政難のなか、障害者福祉関係予算の大幅削減が全国で行われており、障害者とくに重度障害者の福祉や自立生活は、危機的な状況に陥りつつある。
 国の在宅重度障害者通所援護事業においては、これまで日身連はじめ主要障害者団体の度重なる要望にもかかわらず予算削減の方針が示され、また、障害者の地域生活を支える「市町村障害者生活支援事業」「障害児(者)療育等支援事業」の2重要事業が一般財源化された。
そして、新しい障害者基本計画、障害者プランも本年よりスタートした。国では昨年、障害当事者を入れた計画策定のための懇談会を開催したものの、結果的には障害者の自立と社会参加を推進する具体的な内容に乏しく、障害当事者の意見が十分反映されない内容に止どまった。
 日身連では、こうした国内外の切迫する情勢を敏感にとらえ、さらに積極的な政策提言を行うとともに、障害者の生命と権利を守りぬく断固たる決意と、障害のあるすべての人々を受け容れる懐の深さを兼備し、常に新鮮なアイデアをもって広報機能、調査研究機能、企画立案機能を整備し、各種事業に取り組むことにより、民主的な活動基盤および健全なる経営基盤をより強固なものにしていかなければならない。
 「障害者の21世紀の幕開け」の年は、非常に厳しい年になることは必至である。今こそ、中央・地方とも障害者団体は大局的な視点に立って強く連携・団結し、「すべての人々の社会」の創造のため邁進する年といたしたい。

主  な  事  業

1.日本身体障害者福祉大会の開催

 日身連および熊本県身体障害者福祉団体連合会の主催で、5月21日から同月23日までの3日間、第48回日本身体障害者福祉大会くまもと大会を開催する。
 5月21日は大会運営委員会・大会実行委員合同会議、評議員会、5月22日は代表者会議等のほか、「灘尾弘吉杯第15回全国身体障害者ゲートボール大会」が行われ、各地の予選を勝ち抜いた代表選手により白熱したゲームが繰り広げられる。大会式典は5月23日、グランメッセ熊本で行われる。
「新・アジア太平洋障害者の十年」のスタートの年であり、施策的にも新たな出発の年である本年、協調と団結に向けたわが国の障害者団体運動の新たな潮流を創造すべく、くまもと大会の成功に万全を期す。

2.中央における要望等活動

 日本身体障害者福祉大会で決議した要望事項の関係各省庁への陳情、各省庁や関係政党が設置する審議会及び各種委員会への積極的な参画に努める。
 また、支援費制度の施行、新・障害者プランのスタートなどをはじめ、障害者にかかる施策は大きな変革期に入っている。障害者の自立と社会参加、共生社会の実現を推進する事業の関係予算のこれ以上の削減を許さぬため、関係団体との協力の下、一致結束して適宜中央関係省庁や国会議員等への要望活動を行う。

3.中央障害者社会参加推進センター事業

国では3障害による共通の障害者施策が浸透し、また、最近では新しい国際障害分類(ICF)が発表された。オストミー、喉頭摘出等の内部障害者団体や障害と認定されていない難病団体など、障害者社会参加推進センターとして包含すべき障害や障害者の範囲は拡大しつつある。
 障害者社会参加推進センターは、さまざまな障害者や団体の関係者らが集い、生活保障や人権問題など、障害のある人々が直面するさまざまな課題を共にたすけ合いながら解決へ取り組むための、いわば「地域に住む障害者による障害者のためのハブ組織」としての機能を有する随一の機関として、その役割の大きさが改めて認識されているところである。
国でも中央障害者社会参加推進センター事業に対しては、本事業のほぼ従前どおりの予算額を計上している。「障害者の明るいくらし」促進事業の一層の充実を図る観点から、中央障害者社会参加推進センターでも障害者相談員活動強化事業の強化を図るほか、「障害者110番」事業担当者を対象にした「人権擁護障害者110番事業研修会」を7月4日、東京都内で開催する。
このほか、新・アジア太平洋障害者の十年記念セミナーへの開催協力等、従来の事業の枠に止どまらず、障害者の人権を守る視点に立ち完全参加を実現する活動を行うことで、障害者社会参加推進センターの新たな可能性を探究したい。

4.障害者相談員活動強化事業

今春、身体障害者相談員・知的障害者相談員の相談活動を平易にまとめた「障害者相談活動の手引」を刊行する。これは活動事例集等作成編集作業で得られた反省点や全国の相談員からの寄せられた意見等をもとに、実際の相談員活動に活用できる冊子である。また、日身連では平成10年の身体障害者相談員活動事例集発刊を皮切りに、障害者相談員執務必携など、相談員の資質向上及び専門性の確立を図るため、毎年、相談員事業にかかる出版に力を注いできており、平成15年度もこれらの頒布ならびに各地で開催される研修会などでの活用に努める。
本年度事業としては、かねてより新任の障害者相談員等を対象にした教材等の作成を望む声を多数受けていたことから、新任カウンセラー養成研修ビデオ教材(解説アナウンス入り)を作成し、障害者相談にかかる基礎的な情報を提供することにより、相談技術の向上ならびに相談にかかる知識の習得を図り、地域の中で活躍できる障害者相談にかかるリーダー的なカウンセラーの養成を図る(社会福祉・医療事業団助成事業)。完成は平成16年春の予定。
 相談員研修事業では、2003年中央身体障害者相談員研修会を9月4日・5日の2日間、東京都内で開催するほか、地域6ブロックで行われるの相談員研修会に対しても助成を行う。
 このほか、身体障害者相談員全国連絡協議会では「相談員会報」を発行する。

5.小規模作業所活動支援事業

 平成15年度の国の在宅重度障害者通所援護事業の受託団体として、全国の障害者小規模作業所に対し110万円の助成を行う。なお、近年、国で進められている障害者福祉関係予算削減の波は当事業にも及び、国の平成15年度予算では補助対象作業所枠の1割削減が予定されるという事態に陥っている。
日身連では、障害者の地域生活と就業機会の確保に万全を期すため、知的障害者小規模作業所全国連絡協議会、全国精神障害者地域生活支援協議会、きょうされんなど関係機関との協議・提携により、国庫補助対象作業所枠の削減を阻止するため、強力に要望活動やマスコミ等への広報活動に努める。
 このほか、小規模作業所の法人化に関する取り組みについては全国的にも関心が強く、引き続き諸課題の検討を行い、各小規模作業所の創意工夫による運営が円滑になされるよう、各種情報提供に努めるとともに、関係者を対象とした研修として「日身連小規模作業所全国連絡協議会研修会」を2004年2月13日、東京都内で開催する。

6.障害者国際活動推進事業

 国連では現在、障害者の権利条約に関する特別委員会(アド・ホック委員会)が設置されており、6月中旬に第2回委員会がニューヨークで開催されることが決まっている。わが国の主要障害者団体では、条約制定を強力に推進するため、昨夏開催された第1回特別委員会に日身連兒玉明会長を団長とする傍聴団を派遣した。これにより、委員会を構成する各国に大きな影響力を与えることができたため、本年度も引き続き代表の派遣を行い、一日も早い条約制定に向け、障害者の人権を守る当事者団体としての責務を全うする。
 アジア太平洋地域では、2012年までの10年間のキャンペーン「新・アジア太平洋障害者の十年」がスタートした。初年度の本年はシンガポールにてNGO国際会議の開催が予定されており、昨年2002年までのRNNキャンペーンと同様、新しい国際会議の成功のため、わが国からも多数の障害者の参加を働きかける。
 国内事業としては、社会福祉・医療事業団の助成により、「新・アジア太平洋障害者の十年」のオープニング・イヤーを記念するセミナーを大阪府内及び東京都内で開催する(大阪会場-11月6日・7日、東京会場-11月21日・22日の予定)。
障害者権利条約やアジア太平洋地域における障害者施策の動向や、世界的に見ても影響力の大きいわが国の障害者施策の講義や障害当事者運動の進め方等についての考察等、障害当事者の立場から学び探究していくことを主な内容とし、中 央障害当事者団体の協力を得ながら、国内の関係団体の会員をはじめ幅広い層に参加を呼びかける。

7.身体障害者職業自立啓発事業

 厚生労働省からの委託事業として、平成15年度も重度身体障害者の職業的自立に向けた情報の提供及び個別支援、公共職業安定所や地域障害者職業センター等の関係諸機関の活用に関する相談等を行うために、職業自立相談員(2名)、職業自立コンサルタント(1名)を設置する。
また、身体障害者本人、家族、福祉施設職員、盲・ろう・養護学校教師、福祉・労働行政関係職員、雇用主、関係団体職員等を対象に、全国3か所(予定)において身体障害者職業自立啓発セミナーを実施する(会場・日程等は調整中)。

8.団体活動体制強化

 新しい国際障害分類(ICF)への改訂により、障害と障害者の範囲も大きく変革しようとしている。絶対数の少ない内部障害者団体や立ち遅れている障害分野への相互支援の精神に基づき障害者運動を拡大していくことは、障害当事者団体としての絶対的使命である。さまざまな団体・NPOとの協調・連携を推進し、日身連活動への参画の機会を保障する体制整備を急ぐとともに、身体障害の範疇にとらわれぬ団体活動のあり方についても各種検討委員会等で検討を行う。
 また、厳しい経済不況が続いているが、引き続き財政基盤の強化に努めるほか、収益事業部の創設等も含めた財源確保に関する研究も検討委員会等で行う。


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