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震災体験発表実施、貴重な提言出される
 ~ひょうご・神戸全国大会報告
2004/05/25
 第49回日本身体障害者福祉大会ひょうご・神戸大会の第2日目午後は、シンポジウム「身体障害者が語る震災体験発表」が行われました。
シンポジウム「身体障害者が語る震災体験発表」会場
シンポジウム「身体障害者が語る震災体験発表」会場での様子

 これは、阪神・淡路大震災の発生からまもなく10年を迎える機会をとらえ、今回の大会を記念し開催することになったもので、兵庫県内で被災体験をした7名の障害当事者の方がパネリストとして発表しました。
 シンポジウムでは「障害があるゆえに困ったこと、苦しかったこと」など、実感のこもった報告が多く出されました。
 視覚障害者の折野八千代さんは「避難所での生活、トイレなどの問題があった。寒さもつらかった。」と、避難所での慣れない環境での移動面での困難を指摘。
 聴覚障害者の3名の方からは情報保障面での問題が採り上げられました。池田一義さんは「聴覚障害者は情報という点で、FAXが使えないなどの問題があったし、無料郵便制度も不十分で、自宅の損壊程度の判定が行われる際、手話通訳も来られずコミュニケーションも困った」と述べ、谷口義雄さんからも同様の指摘がありました。酒井ヒロミさんは「仮設住宅での生活支援や配給の連絡が取れなかった。お知らせランプも使えずしんどい思いをした」と述べました。
 オストメイトの花田秀子さんは「オストメイトは腸の洗浄のため、たくさんの水が必要だが、水がなく大変な思いをした」と、オストメイト特有の問題を指摘しました。
 肢体障害者の泥可久さんは「避難所での生活では、移動とトイレの問題が大きかった。ノイローゼになる人もいた」と報告。震災で大火傷を負った肢体障害者の栃尾正信さんは「病院が野戦病院化していた。病院には3日から1週間分の薬しかストックがなく、水もなかった。都市災害の中で重傷を負ったときの難しさを感じた」と、生々しい体験を力強く伝えました。

 
コーディネーターの西條遊児さん
シンポジウム「身体障害者が語る震災体験発表」のコーディネーター西條遊児氏
また、このシンポジウムのコーディネーターは、テレビ・ラジオパーソナリティの西條遊児さんが務め、7名のパネリストの苦しみだけでなく、震災を通して得た経験や出会いなどの喜びの気持ちもうまく引き出しながら進行し、貴重な体験発表を盛り上げました。
 西條さんの「これからの障害者と災害防止を考える際に大切なことは何か」との問いに対しては、各パネリストから「音の情報保障」「ひとりひとりの備えの大切さ」「字幕放送・手話通訳画面の充実」「公的機関での情報保障や手話通訳者などの正規職員としての採用」「公務員の新人研修の中に要約筆記を採用」「装具などのきちんとした備え」「隣近所のネットワーク・助けあいの体制づくり」「地域の福祉センターの障害者の避難所化」「ハザードマップの準備」「PTSDなどこころの傷へのケア体制」などの多岐にわたる積極的な提言もありました。
 
 シンポジウム終了後、多数の参加者が神戸市内にある「人とくらしの防災センター」を見学。障害者と防災のあり方、日ごろからの対策の進め方などについて改めて考えるきっかけとなる、兵庫県神戸市での全国大会にふさわしい有意義なプログラムで好評でした。

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