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条約締結へ政府・NGOが連携確認
 ~国連・権利条約特別委報告会開かれる
2004/06/18
  6月4日に閉幕した国連・障害者の権利条約第3回特別委員会のNGOへの報告会が6月18日午前、経済産業省別館内の会議室で開かれました。

第3回特別委員会の報告を行う外務省の角茂樹参事官(中央。左は嘉治美佐子人権人道課長。右は依田晶男内閣府政策統括官障害者施策担当参事官)
第3回特別委員会の報告を行う外務省の角茂樹参事官(中央。左は嘉治美佐子人権人道課長。右は依田晶男内閣府政策統括官障害者施策担当参事官)
 報告会には政府代表として委員会に出席した角茂樹・外務省国際社会協力部参事官ら関係府省の担当官ら14名と、NGO側から笹川吉彦・日身連副会長(日本盲人会連合会長)ほか各団体の代表者10名が参加しました。
 冒頭、笹川副会長がNGOを代表してあいさつし、「第4回特別委員会に向け、引き続き可能な限りの政府とのコンタクトを取っていきたい」と述べ、相互連携のさらなる強化が大切であるとの見解を示しました。
 続いて角参事官が報告資料(下記参照)に基づいて審議報告を行いましたが、第3回委員会では原則として認められた、政府間会合へのNGOのオブザーバー参加と意見陳述の可否について、「第4回委員会以降も、原則としてそうなる(認められる)だろうと解釈している」と述べ、政府としてもNGOの参加を積極的に容認する姿勢を示しました。NGO側も日本政府のこうした前向きな方針を評価しています。
 報告会では意見交換(質疑応答)の時間も設けられ、NGO側からは、開発途上国のNGOメンバーにも特別委員会に参加する機会が得られるよう、日本政府として一層の協力を求める要望などが出されました。
 第4回委員会は8月23日から約2週間、国連本部のあるニューヨークで開催される予定ですが、日身連などNGOとしても引き続き日本政府と情報交換を密にし、万全の準備を尽くす決意です。


(資料)
第3回障害者権利条約に関するアドホック委員会
  (概要と評価)
                                平成16年6月17日
                                国際社会協力部
                                人権人道課

1.日程:2004年5月24日~6月4日

2.場所:NY国連本部

3.参加国:全国連加盟国

4.議長:ルイス・ガレゴス・チリボガ・エクアドル常駐代表(大使)

5.今次会合の成果
(1)今次会合では、1月に開催された作業部会が作成した草案が交渉のベースとなった。
・前文
・第1条:目的
・第2条:一般的原則
・第3条:定義
・第4条:一般的義務
・第5条:障害者に対する積極的態度の促進
・第6条:統計とデータ収集
・第7条:平等及び無差別
・第8条:生命の権利
・第9条:法の下での平等
・第10条:身体の自由及び安全
・第11条:残虐な、非人間的な又は品位を傷つける取り扱い又は罰
・第12条:暴力及び虐待からの自由
・第13条:表現及び意見表明の自由並びに情報へのアクセス
・第14条:私生活、家庭及び家族の尊重
・第15条:独立した生活及び地域への包含
・第16条:障害を持った子供
・第17条:教育
・第18条:政治生活及び公的生活への参加
・第19条:アクセシビリティー
・第20条:個人のモビリティー
・第21条:健康及びリハビリテーションの権利
・第22条:労働の権利
・第23条:社会保障及び相当な生活水準
・第24条:文化的生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加
・第25条:モニタリング
・作業部会レポート付属文書:国際協力

(2)参加形式
 今回は、政府代表団に加え、障害者関連のNGOがオブザーバーとして全討議を傍聴したのみならず、政府代表の討議に加えてコメントを述べることが許される形で討議が行われた。
(3)今次議論の全般
本年1月の作業部会及び今次アドホック委員会を通じて以下の点が明らかとなった。
(イ)障害者の権利擁護促進のためには、既存の人権諸条約により保障された権利は、全て障害者も等しく享受することを明らかにすること。
(ロ)人権の中には、言論の自由、参政権をはじめとする国家が国民に対して、即時に実現の義務を負う政治的市民的権利と、文化的生活、衣食住の確保といった漸進的に保障されるべき経済的社会的権利があるが、本件条約にはその双方を含めるべきこと。
(ハ)障害者の差別を禁止するとの規定に加え、障害者が障害のない人と同等の暮らしを可能にするための積極的措置も明記すべきこと
(二)障害者の権利の実現は、おおよそ全ての社会分野に関連してくるので、既存の条約、国内法規との整理が必要であること。

(4)個別議論
(イ)障害者の定義については、定義を含めるかどうか、もしも定義を含める場合は、障害者を身体的・精神的な機能不完全(インペアメント)を有するものとして据え(これが治癒されない範囲において不可避的に)日常生活又は社会生活において相当な制限を受ける者とするいわゆる「医学的モデル」において据えるのか、障害者が共存するための社会的な整備が進んでいないために、活動を制約されている者との切り口からアプローチする「社会的モデル」として据えるのかにつき、論争があったが、定義については、次回アドホック会合における討議に持ち越された。
(ロ)条約の一般原則および締約国の一般的義務に関しては、障害者に対する差別禁止は、当然のこととして、障害者を特別扱いするのではなく、人間のひとつの形態として受け入れるべきこと、障害者がより良い生活を享受するためのユニバーサルデザインの必要性についても意見が出された。
(ハ)教育については、統合教育を行うのか、特殊教育を行うのか、又は障害児又はその保護者に普通学校と特殊学校を選らぶ権利を与えるかについても意見が分かれた。
(二)雇用については、いわゆる「合理的配慮(reasonable accommodation)」の概念につき、意見が交わされた。
(ホ)精神。知的障害を理由とする強制収容に関しては、法的手続の明確化と司法による救済措置の必要性につき一般的な合意が得られた。
(へ)途上国に住む障害者の権利の擁護・促進のため、情報交換や、障害者のための二国間協力等の国際協力についての重要性について、意見の一致をみた。

(5)我が国の貢献
(イ)バリアフリー社会の実現を一般原則とすべき旨主張した。
(ロ)法の下での平等に関し、障害者、特に知的障害者は尋問や裁判の際、質問の内容を理解していないことが多く、結果的に不当な立場に陥ることを踏まえ、障害者に対する物理的・コミュニケーション上の障壁を除去し、理解の困難さを軽減する適切で効果的な措置をとるべきである旨発言を行った。
(ハ)国際協力については、既存の枠組みを通じた障害者への援助の強化の必要性を訴えた。
(二)権利条約の内容は法的にも即時に実現を行うべき事項と漸進的に行うべき事項を書き分けるべき旨主張した。

6.今後の作業スケジュール
 第4回アドホック会合が8月23日~9月3日にNYの国連本部で開催予定であり、議長が指名する各条文毎のコーディネーターが中心となって、今次第3回アドホック委で各国が提出した意見を纏めていく作業が行われる見通し。   (了)
    

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