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地域生活支援・国庫補助基準、議論されるが…
 ~第18回地域生活支援の在り方に関する検討会開かれる
2004/06/23
  大型の台風が日本縦断した6月21日(月)、「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第18回)」が行われた。新幹線も飛行機も止まり、出席できなかった委員もいた。障害者の地域生活支援についても、社保審の障害者部会が6月18日(金)に8団体のヒアリングを行うなど、今月末の中間報告発表に向けて、台風接近の状態である。

 まずはじめに事務局から「障害者(身体障害者、知的障害者)支援費サービスの利用状況について(速報)」の説明があった。これは今年1月サービス提供分について、107の市町村からの報告を取りまとめたものであった。この速報によると、在宅身体障害者の支援費の1人あたりの平均は、約106,800円で、在宅知的障害者の場合のそれは、約146,200円となっている。また、三位一体改革の骨太方針の中に、障害者施策が盛り込まれたことについても説明があった。

 東京都の有留委員から「ホームヘルプサービス国庫補助基準等に関する意見」の説明があり、「1億円を超える歳入欠損になった自治体が3か所もある。努力をしている自治体の高い部分を切って、低いところにまわすという考え方には問題がある」と指摘した。

 続いて「障害者(児)の地域生活の支援の在り方に関する検討会における議論の整理(案)」と「国庫補助基準及び長時間利用サービスの在り方に関する議論の整理(案)」が読み上げられた。いずれもこれまでの議論をあらためて整理したものである。

 国庫補助基準の見直しでは、地域間格差を踏まえると、「サービスの進んでいない自治体に国庫補助金を手厚く配分することが合理的」とし、障害種別等による基準の区分について「よりきめ細やかな区分を設けることも可能」としながら、今後の検討課題としている。長時間利用のホームヘルプサービス等の在り方では、「公費によるサービスである以上、その費用については一定の制約があるのはやむを得ない」と述べた上で、来年度の対応については、“包括的な報酬体系の導入”や“ヘルパー資格要件の緩和”を提起している。

 これらの提起に対して、中西委員は「包括払いは基本的には切捨てにつながる。医療支援を必要としている障害の重い人たちにとっては、生命の問題に直結する。事業者がきちんと責任を持って、展開できるだけの報酬は絶対に必要」などと論じた。大濱委員は、「包括払いを単純に導入することは難しい」とした。太田(委員)は「現状においては包括払いも一つの考え方であるが、重度障害者にとって地域生活を可能とさせる内容のものかどうか、きちんと検討していく必要がある」と述べた。

 この他、「入所施設が地域サービスの核となる必要があるというニュアンスのところがあるが、現状の施設を見る限り賛成できない」「ボランティア等の非公的サービスを車の両輪としているのは言いすぎではないか」「ヘルパー資格要件の緩和は安易に行ったら危険」「国連でも同年齢の人と同じ生活水準を享受する権利があると言っているのだから、障害の重い人が社会参加のために介助を必要としているのは決してわがままなことではない」「サービスの適正化のために、ものさしづくりは必要」等々の指摘があった。さらに、森祐司委員から「地域生活支援に必要な所得保障や、扶養義務の見直し問題など、基本的な問題が全く触れられていない」とする発言があった。

 検討会もいよいよ最終段階にさしかかろうとしている。しかし、この日の議論も消化不良で終わった感がある。介護をめぐる状況は日に日に緊迫の度合いを増している。

 次回検討会、7月6日(火)午後3時から。

 (6月22日発行・障害連FAXレターNo.80(編集人・太田修平氏 = 中央障害者社会参加推進協議会委員)より転載


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