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第2回介護保険制度有識者会議、開催される
 ~障害者施策を中心に議論
2006/06/01
  厚生労働省は5月31日、「介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議」(座長;京極高宣氏/国立社会保障・人口問題研究所所長)の第2回目となる会合を開催した。
 議論では、現行の介護保険のサービスを若年の障害者にも広げるかどうかを中心に、前回同様、年齢撤廃による普遍化が妥当とする意見がある一方、保険と税の仕組みは異なるとした慎重意見が出された。また、4月施行となった障害者自立支援法の状況についても質問が及んだ。
 この会議は、昨年の介護保険法改正で附則第2条第1項に規定された「被保険者及び受給者の在り方」についての基本的課題等を整理するための厚労省老健局長、社会・援護局長、障害保健福祉部長の私的検討会の位置づけとされている。

 この日の会議では、まず厚労省から障害者自立支援法に基づく新たな障害者施策および障害者の雇用施策の資料説明がされるとともに、(5月)26日に取りまとめられた「社会保障のあり方に関する懇談会報告書」についても報告された。その後、障害者施策のあり方について、介護保険制度を活用した場合の想定も含め、多方面からの議論が行われた。
 委員からの意見では、障害者のホームヘルプサービスの自治体間格差を捉え、介護保険の事業者が障害者へもサービスを提供することで格差が是正されるのではないかとの指摘がある一方、対象や障害の程度が異なり簡単ではないとの反論もあった。
 また、介護保険の被保険者・受給者の範囲を拡大した場合、障害者が保険料・利用料を支払うことは難しいのではないかとの意見に対しては、現在も40歳以上の障害者は介護保険料を払っているとの意見や、厚労省担当者からは、支援費制度から障害者自立支援法に基づくサービスに施策を転換したことによりサービスに対しては利用料を支払うこととなっており、利用料に関しては介護保険と同等の仕組みとなっているとの説明がされた。
 年齢拡大を行った場合、障害児については、医療保険のように被扶養者として整理してはといった意見や、“育児保険”など子育て支援の観点からの施策提起との課題整理も必要との発言もあったが、「若年者にかかる制度設計については、まさに今後の課題」との返答にとどまった。

 一方、4月から段階的施行となった障害者自立支援法の施行・準備状況についても、委員から質問が出された。厚労省の担当者からは、障害程度区分の判定を行う審査会の準備状況については、4,5月で順調に準備が進んでいる大都市がある一方、まだまだこれからという小規模自治体もあるとし、6月末には全国の状況を把握したいと説明。また、利用料導入後の障害当事者のサービス利用の動向についても、負担状況等を調査することで実態の把握・検証を行っていきたいと述べた。
 また現在、国会で審議されている医療制度改革関連法案に、介護保険と医療保険の自己負担限度額が著しく高額になる場合に負担が軽減する「高額医療・高額介護合算制度」の仕組みが設けられることとされているが、障害者自立支援法による利用料については、「4月からの施行であり今後の課題」との説明がされた。
 障害者施策については就労支援対策の拡充にも話題が及び、国の機関であるハローワークを中心として実施されている就業紹介をはじめ、今後は都道府県レベルでの施策展開が促進される必要があるのではないかとの指摘も出された。

 同会議は今後、諸外国の状況の報告や有識者調査等の実施、関係者からのヒアリングが予定されており、引き続き、基本的な議論を行っていくとの説明がされた。次回は7月下旬の開催で調整される見通し。

※ 同会議の第1回(前回)資料は、「WAM NET」ホームページ<http://www.wam.go.jp/index.html>の下記「行政資料」ページに掲載。
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb05Kaig.nsf/vAdmPBigcategory
/A052C7AD415E2B1C4925712A002647E2?OpenDocument


※ 今回の配布資料のうち、「社会保障のあり方に関する懇談会報告書」には、政府の「首相官邸」ホームページ <http://www.kantei.go.jp/index.html> の下記に掲載。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou/dai18/18gijisidai.html

          (5月31日発行・Asahi21 ≪F&M-Letter;介護&障害≫より転載)




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