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障害者自立支援法めぐり与党各党に緊急要望 2006/10/25
 日身連をはじめとする中央障害者主要5団体(日身連、日本盲人会連合、全国脊髄損傷者連合会、全日本手をつなぐ育成会、全国精神障害者家族会連合会)では10月24日、自由民主党並びに公明党で開かれた社会保障制度関係審議会(委員会)に出席し、今月1日の全面施行後、課題が浮き彫りになっている障害者自立支援法について、早急な改善を求めることを柱とした「緊急要望書」を提出しました。各党の代表者からは「いただいた緊急要望を真摯に受け止め、改善が図られるよう取り組みたい」という趣旨の意向が示されています。
自民党社会保障制度調査会障害者福祉委員会の冒頭、国内障害者団体を代表しあいさつする小川榮一会長 公明党・斉藤鉄夫政調会長に緊急要望書を提出する小川榮一会長
自民党社会保障制度調査会障害者福祉委員会の冒頭、国内障害者団体を代表しあいさつする小川榮一会長 公明党・斉藤鉄夫政調会長に緊急要望書を提出する小川榮一会長
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 緊急要望書の全文は以下のとおりです。

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自由民主党政務調査会
社会保障制度調査会
会 長  鈴 木 俊 一  様
同障害者福祉委員会
委員長  木 村 義 雄  様

       障害者自立支援法の運用上の改善を求める緊急要請

 今年10月から本格実施になった「障害者自立支援法」は、“障害者施策の3障害一元化”、“利用者本位のサービス体系の再編”、“就労支援の抜本的強化”、“安定的な財源の確保”等を改革の柱として、“障害者が安心して地域に暮らせる社会”と“もっと障害者が働ける社会”という方向を目指して、障害者基本法の基本的理念に則りつくられた法律であります。
今後の障害者福祉を方向付ける画期的なものであり、私たち障害者5団体は、現行のサービス等の水準を低下しないことを条件として、賛同してきたという経緯があります。
 この法律施行にあたり、政権与党である自由民主党は、私たち障害者団体の要請をご理解いただき、事業運営が円滑に移行できるよう特段の配慮をしていただき、一段と障害者福祉の向上を図ることができたと考えております。
 しかしながら、この法律の施行に伴って導入された障害者の負担やサービス単価、支払い方法等、サービスを受ける側、サービスを提供する側の双方において、生活実態や現場の実情に相反する部分が明らかになり、このことに対する見直しを求める現場からの切実な声が多く、各中央団体によせられています。
 このままでは、障害者の自立と共生社会の実現に逆行し、障害者の暮らしを脅かすものになる恐れがあることからも、この法律の運用にかかわる下記の諸点について、私ども障害者団体とご協議いただき、この法律が、私ども障害者にとって一層の良法となるよう求めるものであります。

                        記
1.利用者負担について
(1) 利用者の利用料月額負担の上限額基準を軽減すること。
(2) 障害福祉サービス及び自立支援医療の利用者負担の上限を決める際の所得の認定にあたっては、障害者の自立の観点から、生計を一にする世帯の所得ではなく、障害者本人の所得のみにすることを周知徹底すること。

(3) 障害福祉サービス及び自立支援医療、補装具の複合利用にあたっては、その合計を負担額とせず、障害福祉サービスの月額負担を上限とする制度にするよう軽減策を講じること。
(4) 就労関係の施設や事業(就労移行支援事業、就労継続支援事業等)は、「働く」ことを目的としており、類似の機能を有する職業能力開発事業等の取扱いの整合性から考えても、利用料は無料にすること。

2.事業・施設報酬の単価について
新事業体系に円滑に移行するために、現行のサービス水準を低下させないよう、報酬単価を抜本的に見直すこと。また、地域生活支援事業である移動支援について、従来のサービス水準を維持すること。

3. 重度訪問介護について
(1)6月24日の全国主管課長会議資料1で示されているように、「ヘルパー制
度は、個々人が自立した生活が出来るような支給決定をするため、国庫負担基準とは関係なく、上限はない(非定型)」ことを周知徹底していただきたい。
(注)最重度の1人暮らし障害者は一般的に非定型利用者となるが、非定型に「定型の1.5倍まで」といった支給決定基準を設ける市町村がある。
(2)重度訪問介護の単価は家事援助並みに低くなっているため、適切なサービス提供が受けられないことが多い。従って、特別な加算などを至急検討すること。

4. 小規模作業所について
新たな事業体系への移行を希望する小規模作業所に対して、障害者基本法の関連条項をも配慮しながら、スムーズな移行の実施を図ること。また、法定化できない作業所に対して、施設運営ができるように救済的な措置を講じること。

5. 社会的入院患者の退院支援について
精神科病院敷地内「地域移行型ホーム」、「退院支援施設」構想は、名目のみの「退院」となるのではないかという強い危惧を持つものである。よって、退院支援に向けた実効性のある対策を講じること。

6. 国会での付帯決議等について
  予算確保を含めて速やかに対処すること。

7. 障害者自立支援法施行後における自治体間の格差是正について
障害者自立支援法施行後、負担基準を軽減する自治体間の格差が生じている。このことは、本法の制定理由の一つである「各自治体における福祉サービスを提供する体制の大きな格差を解消する必要がある」ということに逆行する事態である。この現況について、国は緊急に地域生活支援事業を含めた実態調査を実施し、格差是正の方策を講じること。

要請団体
社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 
          会 長  小 川 榮 一
社会福祉法人日本盲人会連合
          会 長  笹 川 吉 彦
社団法人全国脊髄損傷者連合会
          理事長  妻 屋   明
社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会
          理事長  藤 原   治
財団法人全国精神障害者家族会連合会
          理事長  小 松 正 泰



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