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平成23年度日身連事業計画が新たに承認されました 2011/06/06
 日身連では、3月11日に発生した東日本大震災が、広域にわたり甚大な被害をおよぼしたことから、震災後まもなく日身連内に「東日本大震災対策本部」及び「東日本大震災被災地特別対策本部」を立ち上げる一方、加盟団体等と協力し、支援活動への取組みを始めました。
 そして、従前の平成23年度日身連事業計画に、これら活動を反映させた事業計画が、5月26日に行われた理事会ならびに評議員会で了承され、日身連では、この新たな事業計画に基づいた活動を進めて参ります。


 2011年度(平成23年度)社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 事業計画
基本方針
 3月11日に発生した東日本大震災は、地震と津波によるこれまでに類をみない甚大な被害を及ぼしたばかりか、原発事故も加わり、さらに被害が拡大した。今回の大震災によって、現在も多くの被災した人たちが、避難生活を余儀なくされている。被災地の復旧、復興までには、かなりの年月を要すことが予想されている。日身連は、多くの被災された障害をもつ仲間のために、一刻も早く安心して生活できる環境が整うよう支援をしていかなければならない。震災後、直ちに設置した「日身連東日本大震災対策本部」及び「日身連東日本大震災被災地特別対策本部」を支援活動の核として、被災地の状況把握とともに、加盟団体はじめ、関係団体等の協力のもと、積極的に支援活動を行うとともに、被災地が必要とする支援が講じられるよう、国や政党に対し要請行動を行っていく。
 一方、平成22年1月から始動した障がい者制度改革推進会議では、精力的な議論を経て、障害者制度改革の推進のための意見として、「第一次意見」(同年6月7日)と「第二次意見」(同年12月17日)が取りまとめられた。「第一次意見」は、制度改革の基本的方向と今後の進め方が示され、同年6月29日に「障害者制度改革の推進のための基本的な方向性について」として閣議決定された。そして、「第二次意見」は、主に「障害者基本法」の改正に関する意見書となっている。
 「障害者権利条約」の批准に向けた国内法制度の整備を考える上で、この「障害者基本法」の改正は、その第一歩としての試金石となり得るものと考える。
しかしながら、「障害者基本法」の改正にあたっては法制上のさまざまな障壁があるが、「障害者権利条約」の理念と権利規定をいかに盛り込めるか、“基本法”としての意義と目的を見失うことなく、我われが求める基本法の改正としなければならない。
 平成23年は、「障害者基本法」改正や「障害者総合福祉法」(仮称)、「障害者差別禁止法」(仮称)といった、障害者の人権や日常生活及び社会参加にかかる重要な法律制定に向けた改革の年となる。そして、その改革のための機軸となるのが、障がい者制度改革推進本部であり、障がい者制度改革推進会議である。日身連では、障がい者制度改革推進会議とその下に置かれている総合福祉部会、差別禁止部会に積極的に参画等取り組んでいく。そして、日本障害フォーラム(JDF)(代表/小川榮一日身連会長)をはじめ、他の障害者団体とも連携し、「障害者権利条約」の批准を目指し、精力的に活動を行っていく。
 よって、こういった活動への原動力としての期待がされている日身連への責務を全うするためにも、平成22年度に引き続き、日身連の財政・組織・政策にかかる基盤の整備・強化に努めていかなければならない。また、理事会、評議員会はもとより、実務者レベルでの会合等も設けながら、日身連及び加盟団体の連携をさらに深めながら団体活動の活性化を図っていく。
 このような基本方針に基づき、以下のとおり、平成23年度の日身連諸事業を実施し、成果を図る。

日身連の主な事業
1. 東日本大震災にかかる支援活動
 3月17日に設置した日身連東日本大震災対策本部(本部長/小川榮一日身連会長)を中心に、加盟団体及び日本障害フォーラム(JDF)や障害関係団体と連携し、積極的に支援活動を展開する。また、3月28日に設置した東日本大震災被災地特別対策本部(本部長/前田保青森県身体障害者団体連合会会長、事務局/仙台市障害者福祉協会内)と連携し、被災地の状況把握とともに必要な支援について国や政府に提案・要望を行う。
主な支援活動の内容
1)被災地の情報の収集および分析
2)ホームページや機関紙を通じ、加盟団体等に向けた情報発信
3)被災地身体障害者福祉協会の再建支援
4)被災地からの支援要請に対する対応
5)義援金の呼びかけおよび受け付け等
6)国や政党等への要請行動を含めた、JDFとの協働作業
その他、必要に応じ被災地を訪問し、状況把握や情報、要望の収集等に努める。

2.『第56回日本身体障害者福祉大会 とやま大会』の開催
日身連及び富山県身体障害者福祉協会、富山県身体障害者団体協議会との主催により、富山産業展示会テクノホール(富山県富山市)他において、全国から会員約3500名にご参加いただき、“復興”みんな仲間 思いは「ひとつ」を大会のテーマに、平成23年5月26日(木)、27日(金)の2日間にわたり、とやま大会を開催する。大会初日は、「障害者基本法の改正」に対する講演と、「災害と障害者」を主なテーマに、政策協議を行う。翌日は、日身連会長表彰等の大会式典と、議事(大会決議、大会宣言等)を行う。

3.国及び政党等に対する要請行動及び審議会等への積極的参画
(1)加盟団体から寄せられた要望事項について、「日身連要望事項」としてまとめ、関係省庁に要望提出する。また、中央省庁や政党等に置かれている障害者に関わる会議や委員会等には積極的に出席し、日身連の提案や要望を示しつつ、障害者施策の充実を図るために努める。
(2)特に、今後の障害者制度の抜本的見直しと策定等に関する議論が進められている障がい者制度改革推進会議に対して、日身連の意見を明確に示していく。さらに、日身連は、JDFを中心に障害者団体がさらに結束・協力し、障害者の権利保障及び差別禁止等に関する法制度の整備の具現化のために諸事業を展開する。
(3)その他、増加傾向にある駅ホームからの転落事故(※)等に鑑み、ホームドアの設置促進を含め、バリアフリーに関する要望活動や、現在問題になっている第三種郵便物についても、障害関係団体等に限定した新たな対象枠として見直すこと等を含め、引き続き要請活動を行う。
(※)平成23年1月16日、日身連事務局最寄り駅のJR目白駅(東京都豊島区)で、全盲の方がホームから転落し、電車に接触し死亡した悲惨な事故が発生した。ホームからの転落事故が増加傾向にある中での事故であり、日身連は、従来からホームドアの設置に関して強く要望を行ってきたところであり、今回の事故についても、その予防とホームドアの必要性を要望している。また、今回の事件を受け、大畠章宏国交相は、鉄道各社に対して整備計画を提出させることと記者会見で明らかにしている。

4. 障がい者制度改革推進会議並びに総合福祉部会への参画
 平成22年1月から始まった障がい者制度改革推進会議において、会議が目指している障害者制度改革の推進が図られるよう働きかけていく。特に、障害当事者の意見が尊重され、施策に反映されるよう、日本障害フォーラム(JDF)等との連携のもと、提案・提言を行っていく。
 また、総合福祉部会で検討を進めている「障害者総合福祉法」(仮称)が、障害者権利条約の規定と精神を踏まえた法律として、「障害者自立支援法」における課題を解消したものとして策定されるよう、推進会議と同様、JDFと連携し、同部会に対して提案・提言を行っていく。

5. 中央障害者社会参加推進センター事業の拡充
進められている障害者制度改革の基本的考えは、
1)権利の主体である社会の一員、
2)差別のない社会づくり、
3)社会モデル的観点からの新たな障害の定義の位置づけ、
4)地域生活を可能とするための支援、そして、
5)共生社会の実現としている。
 障害者社会参加推進センターは、事業の実施当初より、障害者の人権問題や地域生活支援、相談支援等について取り組んできた。現在進められている制度改革のテーマは、同センター事業と密接に関わると同時に、さらなる取り組みが望まれる。同センター事業が、円滑かつ実行力を伴うものにするためにも、実態を把握する必要がある。全センターを対象に実態調査を行い、同センター事業の連携・強化を図っていく。
 また、例年実施している障害者相談員活動強化事業や人権擁護障害者110番事業等については、最新情報の提供を行っていくとともに、各地域における障害者の社会参加推進が一層図られるよう、全国の障害者社会参加推進センターと連携し、研修会等を含めた事業を積極的に展開していく。

6. 障害者相談支援事業の充実
 障害者相談員制度の存続については、地方財政の関係により一部の地域での制度廃止といった問題が生じているように、喫緊の課題と考える。引き続き、同制度の存続と、障害者相談員の認知について、国や政党に働きかけていく。特に、相談員の認知度が低いことから、専門的な相談員とは異なった役割を担っている障害者相談員の必要性について要望し、障害者相談員の活用の場が拡充されるよう、さらに働きかけていく。また、障害者相談員個々への研修の充実及び強化のための支援強化のための事業を展開し、障害者相談員の資質の向上に努める。

7. バリアフリーに関する事業の実施
 平成22年度は、歩道橋等の生活環境を題材にバリアフリーに対する意識及び実態調査を行ったが、その内容を踏まえ、消費生活協同組合助成金事業(平成23年1月~同年12月の間)として、「心のバリアフリー化に関する促進・啓発事業」を実施する。障害者相談員等を対象に調査を行うほか、ソフト面の啓発・促進を目的に全国2ヶ所で(予定)シンポジウムを開催する。

8. 機関紙の充実
 毎月1回、機関紙『日身連』を発行し、障害者福祉関連情報を通じた啓発活動を積極的に行っていく。特に、読者が満足できるような最新の情報等を提供するほか、好評を得ている『地域からの発信』を継続しつつ、加盟団体からの地方ならではの情報を含め、さらに紙面の充実を図るとともに、一層の会員の獲得に努める。

9. 日身連の基盤強化
 基本方針にあるように、障害者制度改革促進のための諸施策の検討が進められているなかで、当事者団体である日身連に対する役割と期待は大きい。どのような事態にも、万全に対応できるように、懸案としている日身連財政問題や組織(連携)体制の強化、政策機能を強化していく。
(1)財政基盤の強化
 喫緊の課題である深刻な財政の立て直しについては、財政の健全化を目指し、日身連会長の諮問機関である「日身連財政の安定化に対する検討委員会」を中心に、平成22年度に引き続き、赤字削減の検討を行い、削減目標の達成に努める。また、その達成のために、加盟団体や日身連役員・評議員の協力のもと、賛助会員の獲得に最大限 努めるとともに、新規の寄附先や機関紙の広告収入等の開拓に努める。
(2)組織(連携)体制の強化
 日身連及び加盟団体の連携をさらに強固にしていくため、日身連や加盟団体間 での情報交換等を図っていく必要がある。また、障害福祉の向上のための全国的な調査や要請行動等に、迅速に対応または行動できる体制も必要である。さらに、日身連及び加盟団体の活動等の情報把握のためにも、日頃の丁寧な情報提供はもとより、平成23年1月に開催した事務局長会議も今年度も開催する等、さらに組織(連携)体制の強化に努める。
(3)政策機能の強化
 「障害者権利条約」の批准を目指した障害者の制度改革が進むなかで、障がい者制度改革推進会議では、「障害者基本法」の改正、「障害者総合福祉法」(仮称)、「障害者差別禁止法」(仮称)と、日本の障害者施策の根幹に関わる重要な法律の制定及び改定が、制度改革のプランとして示された。これらの法律制定に伴う諸課題に迅速かつ適切に対応できる政策機能を、さらに強化することが必要である。引き続き、日身連会長の諮問機関である「障害者施策等に関する検討委員会」と連携し、万全に対応できるように体制を整えていく。

10. 日本障害フォーラム(JDF)関連事業
 障害者施策等に関するさまざま課題の解決のために貢献してきたJDFの活動に対する評価は高く、国や政党等への影響力も大変大きい。日身連は、その中心的な存在として、構成する関係団体とともに精力的に活動を行ってきた。
 また、障がい者制度改革推進会議で検討されてきた障害者制度改革と「第一次意見」及び「第二次意見」への理解と、地域における差別禁止条例づくりのためのフォーラムの開催等、地域への周知と意識啓発を行ってきた。
 このような活動を、障がい者制度改革推進会議の「第一次意見」及び「第二次意見」を踏まえた障害者制度改革の実現と結びつけ、そして、目標とする「障害者権利条約」批准に向けて、きちんとした法制度の整備とともに、批准が実現できるよう、日身連は、加盟団体の協力とともに、JDFと連携し、その中軸として、さらに活動を精力的に行っていく。
                                         以 上



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