平成30年1月29日 自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟 会長 石破 茂 様 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 会長 阿部 一彦 要望書  日頃より障害者福祉の向上にむけご尽力いただき深く感謝申し上げます。  2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会を契機に、ユニバーサルデザイン2020行動計画が着実に実行されることを期待しているところですが、さらに、官民一体となって共生社会の実現にむけた取組が進められますよう、下記について特段のご配慮をいただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。 1.バリアフリー法改正法及び関連施策について  障害を理由に分け隔てられることなく、誰もが安心して暮らせる共生社会(条約第9条施設及びサービス等の利用の容易さ及び第20条個人の移動を容易にすること)を反映した法改正としていただきたい。  さらに、障害の社会モデルの理念をバリアフリー法制に具体的に反映するとともに、バリアフリー法関連施策の検討及び評価に際しては、障害者が委員等として参画することとしていただきたい。  ※要望事項については、「別紙1」のとおり 2.ユニバーサル社会形成推進新法案について  ユニバーサル社会の形成の推進は、どの地域で暮らしていても地域間格差なく、障害者や高齢者等が安全かつ安心して日常・社会生活を営むことができることを旨として行うことが求められることから、誰にとっても利用しやすい環境整備をする上で意義のある法律としていただきたい。 3.平成30年度予算案について  ユニバーサルデザイン2020行動計画の施策の実効性を担保し、ユニバーサルデザインの街づくりと心のバリアフリーについて、都市部だけでなく地方部への波及効果が生み出されるよう進めていただきたい。また、東日本大震災、熊本地震やその他の大規模災害の被災者支援の課題解消と、防災減災に向けた取組について地方自治体への指導を含め、取り組んでいただきたい。  ※要望事項については、「別紙2」のとおり 以上 別紙1 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 改正バリアフリー法及び関連施策に関する日身連の要望事項 1.方向性について ① 障害者権利条約締結を踏まえ、バリアフリー法制に具体的に反映すること ・第9条施設及びサービス等の利用の容易さ及び第20条個人の移動を容易にすること ② 障害の社会モデルの理念をバリアフリー法制に具体的に反映すること ③ 可能な限り、改正法に「移動の権利」を明記するなど法律の目的を明確に規定 ④ ユニバーサルデザイン2020行動計画で示された諸施策を着実に実施すること ⑤ バリアフリー施策の検討及び評価に際し障害者が委員等として参画すること ⑥ バリアフリー施策の方向性を打ち出すための3つの視点に留意すること (バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会報告書による)  ・高齢者、障害者等の社会参加の拡大の推進  ・バリアフリーのまちづくりに向けた地域連携の強化  ・ハード、ソフト一体となった取組の推進 2.特に検討が必要と思われる個別的課題 ① 地方部のバリアフリー化の取組の推進 ・市町村の基本構想の作成を促進するとともに、作成に当たっては障害者・高齢者の意見を取り入れること ② 交通バリアフリー基準・ガイドラインの見直し ・駅等の経路(スムーズに乗換や移動ができる経路)、エレベーター(設置場所、大型化) ③ 個別施設のバリアフリー化にとどまらず、交通結節点におけるバリアフリー化の推進 ④ 障害特性に配慮しつつ、バリアフリー情報を提供するための仕組みの充実 ⑤ 観光バス、高速バスのバリアフリー化の促進 ⑥ 新幹線及び特急車両の車いす用スペースの確保 ⑦ 船舶のバリアフリー化の促進強化(多機能トイレや段差解消) ⑧ ホテル旅館のユニバーサルデザイン化の検討(実現可能なバリアフリールームのあり方の検討) ⑨ 無人駅や地方の路線バス縮小や廃止に対する移動の確保と安全対策の構築 ⑩ エスカレーター利用時における安全性を考慮した規制の検討 ⑪ 事業者が率先して心のバリアフリー研修を実施できる環境整備の支援(適切な水準を確保するための接遇ガイドラインの作成、当事者参加の研修)、及び行政機関と事業者連携した心のバリアフリーの周知啓発 ⑫ 防災減災に対応したバリアフリー化の取組強化 ・避難所の整備(特に学校)、雪害や水害等を視野に災害に強い街づくりへの取組 以上 別紙2 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 平成30年度予算案に関する主な要望事項 1. バリアフリー関連 検討においては、引き続き、障害当事者や障害者団体等関係者の意見を踏まえながら進めていただきたい。また、こうした流れが、都市部だけでなく地方部への波及効果を生む取り組みとなるよう進めていただきたい。 ① 駅ホームの転落等事故防止にむけホームドアの設置の一層の促進 ② ハンドル型電動車いすの方を含め新幹線等の車いすスペースの確保とあり方③ ホテルのバリアフリールームのあり方の検討(一般客室も工夫改善で障害者  が利用可能となる) ④ パラ等競技スポーツ選手への財政的支援を含めたサポート体制の充実ととも  に、競技場やスポーツ施設のバリアフリー化促進や施設関係者の障害理解の啓  発促進 ⑤ 視覚障害者、聴覚障害者の方に加え、失語症や知的障害、発達障害等、情報  保障を必要とする障害者に対する情報保障(緊急時や災害時を含め、誰もが分  かりやすい表示に可能な限り統一する等の検討) ⑥ 障害当事者参画によるユニバーサルデザイン2020評価会議の早期設置 2. 心のバリアフリー関連 ① 教育の連携(幼稚園・保育所、小中学校、高等学校、大学等)と先駆的な好  事例の共有、波及効果に向けた取組 ② 学生ボランティアの全国展開にむけた具体的な取組みの好事例の情報共有 ③ 企業の社員研修の充実と実効性にむけた障害者団体との連携協力への財政的  支援 3. 災害関連 ① 東日本大震災や熊本地震により避難生活を続けざるを得ない被災者の現状を  受けとめ、地元自治体と連携した復興対策の強化 ② 応急仮設住宅のバリアフリー化の課題(仮設住宅の規格の見直し)、相談支援活動を行っている民間団体等への資金援助等も含めた支援体制の強化 4. 障害者雇用関連 ① 本人の希望や能力をいかした就労支援が促進 ② 中高年層の障害者への対応(配慮)を含めた障害特性に応じた職場環境   (ハードソフト)の整備 5. 社会参加の促進 身体障害者福祉法における身体障害者相談員制度の活用 ※委嘱が都道府県から市町村に委譲された以降も、地域住民への障害理解の周知啓発や、行政機関を補完し、障害をもつ仲間として相談支援を行ってきた身体障害者相談員の活動への財政的な支援及び自治体との連携した仕組み強化に向けた指導強化 以上