令和元年11月15日 自由民主党 ユニバーサル社会推進議員連盟 会長 石破 茂 様 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 会長 阿部一彦  令和2年度予算・税制等に関する日身連の要望について  平素は障害者施策の推進にご尽力いただき深く感謝申し上げます。  障害者権利条約締約国として、障害を理由に分けへだてられることなく誰もが安心してくらせる共生社会の実現は不可欠です。折しも、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、障害理解への高い関心が寄せられている今、障害者を取り巻く社会環境の一層の促進にご尽力いただけますよう、以下の要望事項についてご理解ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。 記 Ⅰ.予算に関すること (1) 『ユニバーサルデザイン2020行動計画』の完全実施について ① 行動計画が着実に実施され、かつ、継続した取組が行われることが肝要です。現在、評価会議において、計画の実施状況の把握と評価、改善点に向けた議論が行われていますが、2020年以降も会議を継続してください。 ② ハード・ソフト両面におけるバリアフリー化(公共交通機関、公共施設、宿泊施設、接遇等)の促進が図られていますが、地方部(無人駅、路線バス縮小等含む)におけるバリアフリー化についても取り残されることがないよう促進にむけた検討を行ってください。また、行政機関や事業者等における障害理解の研修についても好事例の共有と継続した研修に努めてください。 ③ ICT活用によるバリアフリー化促進に向けた積極的な検討を期待するものですが、利用者の視点からの整備に向けた府省庁の横断的な検討と、改善を目的とした継続的な検討が必要と考えます。関係する府省庁が連携協働し、必要とされる情報コミュニケーションのあり方が共有されたなかで進めてください。 (2) 障害当事者参画について  障害のある人の自立と社会参加に関する法律や制度の検討において、障害のある人が参加し議論や検討を行うことが国だけでなく、すべての地方自治体においても実施されなければ、本来、障害者権利条約の完全実施には至らないと考えます。障害者基本法においては、法や制度の基本的な計画を作成することが定められていますが、市町村においては、その審議を行う審議会その他合議制の機関が努力義務とされています。当事者参画を担保する上でも義務化への検討を行ってください。  また、障害のある女性に対する支援については、第4次障害者基本計画に示されましたが、障害のある女性の権利侵害等の状況把握と課題解消、社会参加と活躍できる社会環境に関し、政策立案を含めた取組を推進してください。  障害者総合支援法等における障害福祉計画及び障害児福祉計画に係る基本指針の見直しの検討についても、十分な議論を経て見直しがなされ、かつ、実効性が高められるよう取り組んでください。   (3) 障害者就労について  将来を見据えた障害者就労の促進が図れるよう、障害特性に適切に対応した配慮、環境整備が提供され、働く人の視点にたった改革実現を目指し、省庁の枠を取り除いた検討を進めてください。 (4) 改正障害者基本法・障害者虐待防止法の法施行後の見直しについて  改正障害者基本法及び障害者虐待防止法については、法施行後3年を経過した状況に検討を加え、必要な措置を講じるものとされていますが、両法ともに検討が行われていない状況です。速やかに検討を行ってください。 (5) 災害時における被災障害者等への対応について  過去の大規模災害の教訓を踏まえ、法改正を含め、国及び地方自治体での取組が進められてきていますが、台風19号においても障害のある人とその家族への支援活動の実態が見えてきません。一人ひとりに寄り添った支援活動が必要であり、人的体制整備や平常時からの準備に加え、活動の基盤整備を早急に進めてください。加えて、万全な福祉的支援を目指し、財政的な基盤確保を講じてください。 (6) 学校卒業後の障害者の学びについて  生涯学習、教育、スポーツ、文化の施策全般にわたり、生涯を通じた障害者の多様な学習活動を支援するための取組について期待しているところです。学校教育段階から将来を見据えた活動の重要性や福祉等の分野の取組と学びの連携強化、社会教育と特別支援教育・障害者福祉等をつなぐ人材の育成と適切な配置、また、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーとしての生涯教育といったことについての議論を積み上げていただくとともに、実態に即した施策が実施されるよう取り組んでください。 (7) 社会参加の促進にむけた交通手段の諸課題の解消について  JR等の運賃割引(鉄道単独利用100km以下の適用、JRジパング倶楽部の対象新幹線の拡大(現行では「のぞみ」及び「みずほ」が対象外)、有料道路の障害者割引制度の対象緩和等)の運用の取扱いについて、現状に鑑み見直しをしてください。   Ⅱ.税制について  所得税、相続税、住民税、固定資産税、自動車重量税等については、障害者の生活が困難な状況に陥らないよう、負担軽減となるような減免対策を講じてください。 Ⅲ.その他  障害者福祉が充実・向上する上において、個々の障害者の声を代弁し活動している障害者団体の役割は極めて大きいと考えていますが、その実績や貢献度に反して自助努力で障害者団体活動の財源を確保することが厳しい現状下に置かれています。是非とも、障害者団体の重要性に鑑み、現在の状況改善にむけた措置を講じてください。  ⅰ.障害者団体への助成制度といった安定かつ円滑な運用のための仕組み作り  ⅱ.身体障害者福祉法第22条(売店の設置)の見直しを含めた公共施設等の自動販売     機の設置・運営の優先的許可  ⅲ.心身障害者用低料第三種郵便物制度の抜本的見直し 以 上