令和2年11月9日 自由民主党 組織運動本部 厚生関係団体委員長 小島 敏文 様 政務調査会 厚生労働部会長    福岡 資麿 様 社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長  阿部 一彦 令和3年度予算・税制等に関する日身連の要望について  平素より障害者施策の推進にご尽力いただき深く感謝申し上げます。  新型コロナウイルス感染拡大の影響により新しい生活様式のもとで社会生活の過ごし方が進められていくなかで、障害を理由に分けへだてられることなく誰もが安心して暮らせる共生社会の実現を期待するものです。  障害者施策の促進とともに、障害に対する一層の国民的理解が社会に根づきますよう、以下の事項を要望いたします。何卒、ご理解、ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。 記 1.ユニバーサルデザイン2020行動計画がめざす共生社会を実現していただきたい。 ・施策反映と完全実施、中央並びに地方におけるPDCA実践のためのスパイラルアップ検討の場の継続、取りこぼしのない課題の検討 2.“Nothnig about us, without us(私たち抜きに私たちのことを決めないで)”による当事者参画の政策立案の仕組の徹底 3.新しい生活様式のなかでの障害者雇用促進にむけた雇用・福祉施策の連携強化による政策の立案 4.現状を踏まえた交通手段の長年にわたる課題の解消   ・高速道路の対象認定の要件の見直し等 5.現状把握を踏まえた新型コロナウイルス感染拡大の影響による諸課題の早急な対策 6.地域社会と連携し社会参加推進に寄与している障害者団体への財政的支援措置の構築 以 上 別紙 Ⅰ.予算に関すること 1. 『ユニバーサルデザイン2020行動計画』の完全実施について ① 行動計画が着実に実施され、かつ、継続した取組が行われることが肝要と考えます。一過性のことではなく、実施状況の把握と評価、改善点に向けた議論が継続的に行われるよう、2020年以降も中央及び地方における評価会議を継続していただきたい。 ② ハード・ソフト両面におけるバリアフリー化(公共交通機関、公共施設、宿泊施設、接遇等)の促進が図られていますが、あまり議論にあがらない課題(施設改修工事期間の対策、エスカレーター利用の考え方、信号機の規格整備等)や地方部における無人駅や路線バス縮小等の課題について、取り残されることがないよう課題解消にむけた検討の場を構築していただきたい。  また、行政機関や事業者等における障害理解の研修については、地域の特性や実情をとらえた好事例の共有と、行政機関と障害者団体で連携した研修事業等にも取り組めるよう検討いただきたい。 ③ ICT活用によるバリアフリー化促進に向けた積極的な取組がさらに加速するよう期待するなかで、障害のある利用者の視点をもとに、支援機器や機器の環境整備並びに新技術開発に向け、府省庁間の横断的かつ継続的な検討を進めていただきたい。  また、機器の開発による恩恵を受けられない人がないよう、支援機器の開発に限らず、機器操作を学ぶための教室や勉強会等についても障害特性に配慮した研修ができるように支援していただきたい。 2.障害当事者参画について  障害のある人の自立と社会参加に関する法律や制度の検討において、障害のある人が参加し議論する仕組が形だけのものとならないようにすることが肝要と考える。国並びにすべての地方自治体において実施されることが、障害者権利条約の完全実施に至るものと考える。  障害者基本法においては、法や制度の基本的な計画を作成することが定められているが、市町村においては、その審議を行う審議会その他合議制の機関が努力義務とされていることから、当事者参画を担保する上でも義務化への検討を行っていただきたい。  また、障害のある女性に対する支援については、第4次障害者基本計画に示されたが、障害のある少女や女性の権利侵害等の状況把握と課題解消、社会参加と活躍できる社会環境に関し、政策立案を含めた取組を推進していただきたい。   3.障害者就労について  働く人の視点に立ち、障害特性に適切に配慮した対応と環境整備は、将来を見据えた障害者就労の促進に結びつくものと考える。現在、雇用・福祉施策のさらなる連携強化にむけ、新しい生活様式を見据えつつ、新たな検討会を開催することに期待するとともに、検討された結果が、雇用及び福祉の連携施策として実現するよう図っていただきたい。 4.交通手段の諸課題の解消について  JR等の運賃割引(鉄道単独利用100km以下の適用、JRジパング倶楽部特別会員の対象新幹線の拡大(現行では「のぞみ」及び「みずほ」が対象外)や有料高速道路の障害者割引制度の運用の取扱い(車両登録ではなく障害者手帳の提示へ)について、現状に鑑み、見直していただきたい。   5.新型コロナウイルス感染拡大への対応について  新型コロナウイルスの感染防止対策と社会経済活動の両立にむけた方針が示される一方で、感染拡大の収束がみえないなか、抵抗力が弱い障害者やその家族及び施設職員や事業所従事者等にとって感染の心配が常態化している。加えて、施設や病院内でのクラスターが発生していること等から以下について早急に検討いただきたい。 ① 新型コロナワクチン(インフルエンザ含)の優先接種の対象者に加えていただきたい。 ② PCR検査を公費負担とし優先的に受けさせていただきたい。 ③ 避難所及び福祉避難所については、収容人数を把握し避難できない人がでないよう適切に設置していただきたい。 ④ 感染予防対策については、情報コミュニケーションを確保し障害特性に配慮した対策を講じていただきたい。 ⑤ また、これらの対策の検討においては、障害者が参画し協議検討を行う仕組を徹底していただきたい。 ⑥ 障害者の解雇が大幅増(前年度比34.9%増)の現状は深刻であり、働くための環境整備の支援等を含め、早急に対策を講じていただきたい。   6.地域社会と連携した社会参加推進について  障害者福祉が充実・向上する上において、個々の障害者の声を代弁し活動している障害者団体の役割は極めて大きいと考える。しかしながら、活動の実績や貢献度に反し、自助努力で障害者団体活動の財源を確保することが極めて厳しい現状下に置かれている。こうしたことから、障害者団体の活動活性化のための財政的な支援措置を講じていただきたい。 ・障害者団体への助成制度といった安定かつ円滑な運用のための仕組み作り ・身体障害者福祉法第22条(売店の設置)の見直しを含めた公共施設等の自動販売機の設置・運営の優先的許可       Ⅱ.税制について  所得税、相続税、住民税、固定資産税、自動車重量税等については、障害者の生活が困難な状況に陥らないよう、負担軽減となるような減免対策を講じていただきたい。   以 上