令和3年2月22日 自由民主党 ユニバーサル社会推進議員連盟 会長 石破 茂(いしば しげる) 様 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 会長 阿部 一彦(あべ かずひこ) 日身連の要望について  平素より障害者施策の推進にご尽力いただき深く感謝申し上げます。  新型コロナウイルス感染拡大の影響により新しい生活様式のもとで社会生活の過ごし方が進められていく現状において、障害を理由に分けへだてられることなく誰もが安心して暮らせる共生社会の実現を期待いたします。障害者施策の促進とともに、以下の実現について要望いたします。 1.『ユニバーサルデザイン2020行動計画』の完全実施について ① 行動計画が着実に実施され、かつ、継続した取組が行われることが肝要と考えます。一過性のことではなく、実施状況の把握と評価、改善点に向けた議論が継続的に行われるよう、2021年以降も中央及び地方における評価会議を継続していただきたい。 ② ハード・ソフト両面におけるバリアフリー化(公共交通機関、公共施設、宿泊施設、接遇等)の促進が図られていますが、議論にあまりあがらない課題(施設改修工事期間の対策、エスカレーター利用の考え方、信号機の規格整備等)や地方部における無人駅や路線バス縮小等の課題についても取り残されることがないよう、課題解消にむけた検討の場を構築していただきたい。  また、行政機関や事業者等における障害理解の研修については、地域の特性や実情をとらえた好事例の共有と、行政機関と障害者団体で連携した研修事業等にも取り組めるよう検討いただきたい。 ③ ICT活用によるバリアフリー化促進に向けた積極的な取組がさらに加速することを期待するなかで、障害のある利用者の視点をもとに、支援機器やその環境整備並びに新技術開発に向け、府省庁間の横断的かつ継続的な検討を進めていただきたい。  また、機器の開発による恩恵を受けられない人がないよう、支援機器の開発に限らず、機器操作を学ぶための教室や勉強会等についても障害特性に配慮した研修ができるように支援していただきたい。 ④ デジタル庁の中に障害者支援等に関わる部署を、障害当事者等の意見等を参考に設置していただきたい。 2.障害当事者参画について  障害のある人の自立と社会参加に関する法律や制度の検討において、障害のある人が参加し議論する仕組が形だけのものとならないようにすることが肝要であることからも、国並びにすべての地方自治体において実施されることが、障害者権利条約の完全実施に至る ものと考える。  障害者基本法においては、法や制度の基本的な計画を作成することが定められているが、市町村においては、その審議を行う審議会その他合議制の機関が努力義務とされていることから、当事者参画を担保する上でも義務化への検討を行っていただきたい。  また、障害のある女性に対する支援については、第4次障害者基本計画に示されたが、障害のある少女や女性の権利侵害等の状況把握と課題解消、社会参加と活躍できる社会環境に関し、政策立案を含めた取組を推進していただきたい。   3.障害者差別解消法の改正について  同法の見直しについては、平成 31 年4月に施行3年が経過することを踏まえ、平成 31 年1月から内閣府の障害者政策委員会において議論され、令和2年6月に意見書が取りまとめられたところである。これを踏まえ、今国会に改正案が上程される予定だが、改正にあたっては、事業者の合理的配慮の義務化に加え、差別の定義の明示化、障害当事者がかかわったなかでの紛争解決の仕組や相談窓口の体制整備が大変重要と考え、これらについても十分に配慮いただきたい。 4.新型コロナウイルス感染拡大への対応について  新型コロナウイルスの感染防止対策と社会経済活動の両立にむけた方針が示される一方で、感染拡大の収束がみえないなか、基礎疾患を有していることが多い障害者やその家族及び施設職員や事業所従事者等にとって感染の心配が常態化している。加えて、施設や病院内でのクラスターが発生していること等から以下について早急に検討いただきたい。 ① 新型コロナワクチン(インフルエンザ含)の優先接種の対象者に加えていただきたい。 ② PCR検査を公費負担とし優先的に受けさせていただきたい。 ③ 避難所及び福祉避難所については、収容人数を把握し避難できない人がでないよう適切に設置していただきたい。 ④ 感染予防対策については、情報コミュニケーションを確保し障害特性に配慮した対策を講じていただきたい。また、新型コロナウイルス感染症にかかる相談窓口は、電話のみならずFAXでの対応を徹底していただきたい。 ⑤ また、これらの対策の検討においては、障害者が参画し協議検討を行う仕組を徹底していただきたい。 ⑥ テレワークの導入など新しい働き方を導入し、障害者の就業形態希望や能力を十分に活かし、障害者の雇用環境が悪化しないようにしていただきたい。 ⑦ オンラインによる会議や研修会等の実施については、コロナ禍において新たな開催方法の形として、国はじめ団体や企業で実施され、今後、一層の活用の促進が見込まると考える。誰もが分け隔てなく参加できる環境が必要であり、事業の開催においては、技術的に可能なシステムである要約筆記や手話通訳による情報保障含めた通信環境整備(情報保障機材、会場機材等)に対する助成制度等の支援を講じていただきたい。 ※通信環境整備に係る費用が主催者となるため、かなりの負担になり、団体運営に支障をきたすこともあり得る。