令和3年11月18日 自由民主党 政務調査会長  高市 早苗 様 組織運動本部長 小渕 優子 様 団体総務局長  齋藤 健  様     社会福祉法人     日本身体障害者団体連合会     会長  阿部 一彦  令和4年度予算・税制等に関する日身連の要望について  平素より障害者施策の推進にご尽力いただき深く感謝申し上げます。  コロナ禍において社会生活を見直しながら1年半余りが経過しました。未だ、感染再拡大の心配はつきませんが、どのような社会にあっても、障害を理由に分けへだてられることなく、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現が期待されます。 障害者権利条約の国別審査を控えるなか、障害者施策の一層の促進とともに障害に対する一層の国民的理解が地域社会に根づきますよう、ご理解、ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。 記 1.ユニバーサルデザイン2020行動計画を踏まえた地域共生社会の実現 ・施策反映と完全実施、中央並びに地方におけるPDCA実践のためのスパイラルアップ検討の場の継続、取りこぼしのない課題の検討 ・2020オリンピック・パラリンピック東京大会レガシーの推進 2.“Nothing about us, without us(私たち抜きに私たちのことを決めないで)”による当事者参画での政策立案の仕組の徹底 3.新しい生活様式のなかでの障害者雇用促進にむけた教育・雇用・福祉施策の一層の連携強化による政策立案 4.移動環境における課題の解消 5.新型コロナウイルス感染症の再拡大を想定した対策 6.地域社会と連携し社会参加推進に寄与している障害者団体への財政的支援措置の構築 以 上 別 紙 Ⅰ.予算に関すること 1. ユニバーサルデザイン2020行動計画による地域共生社会の実現について ① 行動計画の継続性が担保され、当事者参画による取組を進めることが肝要と考える。一過性にせず、実施状況の把握と評価、改善点に向けた議論が継続的に行われるよう、中央及び地方における評価会議を継続いただきたい。 ② ハード・ソフト両面におけるバリアフリー施策が進められているが、あまり議論に取り上げられない課題(施設改修工事期間の対策、エスカレーター利用の考え方、信号機の規格整備等)や地方部における無人駅や路線バス縮小等の課題等、配慮が必要とされる対象者が置き去りにされることなく課題解消にむけた検討の場を確保いただきたい。 また、行政機関や事業者等における障害理解の研修については、好事例の共有や行政機関、民間事業者、障害者団体が連携した研修事業の一層の促進を後押ししていただきたい。 ③ ICT活用によるバリアフリー化の促進に向けた積極的な取組がさらに加速することが期待される。障害のある利用者の視点をもとに、支援機器や機器の環境整備並びに新技術開発に向け、府省庁間の横断的かつ継続的な検討を進めていただきたい。 また、機器の開発による恩恵を受けられない人がないよう、支援機器の開発に限らず、機器操作を学ぶための教室や勉強会等についても障害特性に配慮した研修ができるように支援していただきたい。 特に、デジタル庁においては、多様な障害特性に配慮したきめ細やかな対応とともに、   地域格差なく、誰もがデジタルの恩恵が享受できる人に優しいデジタル化を進めていただきたい。加えて、デジタル社会の推進にあたっては、デジタル化による生活環境の利便性の理解啓発についても取り組んでいただきたい。 2.障害当事者参画について 障害のある人の自立と社会参加に関する法律や制度の検討において、障害のある人が参加し議論する仕組が形だけのものとならないようにすることが肝要と考える。国並びにすべての地方自治体において実施されることが、障害者権利条約の完全実施に至るものと考える。 障害者基本法においては、法や制度の基本的な計画を作成することが定められているが、市町村においては、その審議を行う審議会その他合議制の機関が努力義務とされていることから、当事者参画を担保する上でも義務化への検討を行っていただきたい。  また、障害のある女性に対する支援は多くの課題があり、第4次障害者基本計画に示されたが、障害のある少女や女性に対する権利侵害等の状況把握と課題解消、自分らしく活躍できる社会環境への政策立案を含めた取組を推進していただきたい。 3.障害者就労について 働く人の視点に立ち、障害特性に適切に配慮した対応と環境整備は、将来を見据えた障害者就労の促進に結びつくものと考える。現在、雇用・福祉施策のさらなる連携強化にむけ、新しい生活様式を見据えつつ、新たな検討会を開催することに期待するとともに、検討された結果が、雇用及び福祉の連携施策として実現するよう図っていただきたい。 4.交通手段の諸課題の解消について ① JR等の運賃割引(鉄道単独利用100km以下の適用、JRジパング倶楽部特別会員の対   象新幹線の拡大(現行では「のぞみ」及び「みずほ」が対象外)について、現状に鑑み、   見直していただきたい。 ② 肢体不自由者の駐車場スペースの確保に関する適正管理できる制度の確立 5.新型コロナウイルス感染症の再拡大への対応について  コロナ禍のなか、障害により不利益や困難な状況に置かれた現状については、現状の把握と課題解消にむけた対策を早急に検討いただきたい。 ① ワクチン接種やPCR検査等感染予防対策については、情報コミュニケーションを確保し、障害特性に配慮した適切な対策を講じていただきたい。 ② 新型コロナワクチン(インフルエンザ含)の優先接種の対象者に加えていただきたい。 ③ PCR検査を公費負担とし優先的に受けさせていただきたい。 ④ 災害等の非常事態が発生した際、避難所及び福祉避難所においては、収容人数を把握し、避難できない人がでないよう適切に設置していただきたい。 ⑤ また、これらの対策の検討においては、障害者が参画し協議検討を行う仕組を徹底していただきたい。 ⑥ 昨年度は障害者解雇が前年度比で大幅増となり、極めて深刻な状況と捉えている。経済活動の回復状況が期待されるなか、働く場の環境整備の支援等を含め、雇用促進に向けた対策を早急に講じていただきたい。 6.地域社会と連携した社会参加推進について 障害者の孤立・孤独を防止するためにも障害者の社会参加の活動は必要不可欠と考える。障害者福祉の充実・向上を進める上において、個々の障害者の声を代弁し、障害者の社会参加の活動を推進している障害者団体の役割は極めて大きいと考える。しかしながら、活動の実績や貢献度に反し、自助努力で障害者団体活動の財源を確保することが極めて厳しい現状下に置かれている。こうしたことから、障害者団体の活動活性化のための財政的な支援措置を講じていただきたい。 ・障害者団体への助成制度といった安定かつ円滑な運用のための仕組み作り ・身体障害者福祉法第22条(売店の設置)の見直しを含めた公共施設等の自動販売    機の設置・運営の優先的許可 Ⅱ.税制について 所得税、相続税、住民税、固定資産税、自動車重量税等については、障害者の生活が困難な状況に陥らないよう、負担軽減となるような減免対策を講じていただきたい。 以 上