令和4年6月10日 自由民主党 ユニバーサル社会推進議員連盟  会長 石破 茂 様 社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会  会長  阿部 一彦   平素より障害者施策の推進にご尽力いただき深く感謝申し上げます。  障害者権利条約の国別審査を控えるなか、障害者施策の一層の促進とともに障害に対する一層の国民的理解が地域社会に根づきますよう、ご理解、ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。 記 Ⅰ.令和4年度予算等に関することについて 1. 障害者の孤独・孤立を防止するためにも、障害者の社会参加の活動は必要不可欠です。障害者福祉の充実・向上を進める上において、個々の障害者の声を代弁し、障害者の社会参加の活動を推進している障害者団体の役割は極めて大きいと考えます。しかしながら、活動の実績や貢献度に反し、自助努力で障害者団体活動の財源を確保することが極めて厳しい現状下に置かれています。そうしたことから、障害者団体の活動活性化のための財政的な支援措置を講じてください。 2. 身体障害者相談員制度について、市町村により取り組みに大きな格差が生じています。地域で暮らしている障害者にとって、ピアサポーターである障害者相談員の寄り添う相談活動は極めて重要であり、市町村と相談員が情報共有・連携した相談活動が実施できるよう、市町村への周知徹底とともに、都道府県のバックアップ等を含め、障害者相談員の身分等法制度の充実強化を図ってください。 3. 働く人の視点に立ち、障害特性に適切に配慮した対応と環境整備は、将来を見据えた障害者就労の促進に結びつくものと考えます。現在、雇用・福祉施策のさらなる連携強化にむけ、新しい生活様式を見据えつつ、新たな検討会が開催されたことに期待するとともに、検討された結果が、雇用及び福祉の連携施策として実現するよう図ってください。  また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、障害者解雇が増え、極めて深刻な状況と捉えています。経済活動の回復が期待されるなか、障害者の働く場の環境整備の支援等を含め、雇用促進に向けた対策を早急に講じてください。 4. 障害者総合支援法の意思疎通支援事業において要約筆記者、手話通訳者等の派遣は、個人利用、居住市町村内利用が原則とされ、専門性の高い意思疎通は市町村域を越えて要約筆記の派遣を受けられることになっています。しかし、団体が実施する集まり等での要約筆記者、手話通訳者等の利用が想定されていないため、やむなく市町村・都道府県の事業実施要綱に規定をおいて対応しており、地域間格差が生じています。また、全国規模の集まりに対しては、制度が全く未整備で、開催地の地方自治体が特例で対応するか、実施主催者の費用で負担せざるを得ない状況です。意思疎通支援事業は、いつでも、どこでも利用できることが求められることからも、都道府県、政令市等での広域的な派遣事業を推進すると同時に、遠隔サービスに限らず、全国規模の会議・集まりへの要約筆記者、手話通訳者等を派遣できる仕組みを構築してください。 5. 障害当事者等の視点を踏まえた地域社会の環境整備(街づくり)の好事例が評価されていることを踏まえ、バリアフリー法の改正等により一層の推進が期待されるなかにおいて、公共施設や公共交通機関の建築や改修においては、設計・施工段階から障害者等の意見が反映できる体制整備を図ってください。また、地方自治体による条例は、それぞれ独自の基準によりバリアフリー整備が実施されることから地域間格差が生じたり、バリアフリー法の対象となっていない施設のバリアフリー化が進んでいない状況が見受けられます。令和4年度から小規模店舗等のバリアフリー改修工事への補助が拡充されるなかにおいて、利用者である障害者等の参画により、地域間の格差なく、適切なバリアフリー化が進むようお願いいたします。 6. コロナ禍によりオンラインを通じて活動が広がるなかにおいて、誰もが取り残されることなく、気軽に参加できるオンライン環境を整えることは喫緊の課題と考えます。また、こうした環境は、コロナが終息したあとも社会生活を支える基盤ともなりえることから、財政的措置を含め、各方面への対策を講じてください。  (事例) ・インターネット環境が不十分でWi-Fiが使えない ・障害特性に配慮したパソコンやスマートフォン、タブレット等の接続や操作等に関するサポート体制の充実 ・機器の操作等に関するコミュニケーションツールの開発促進 7. デジタルガバメント実行計画(令和元年12月20日閣議決定)において、マイナンバーカードの普及促進とマイナンバーの利活用の一環として障害者手帳のデジタル化の推進が図られています。令和3年3月からはマイナンバーカードが健康保険証として使えるようになりましたが、障害者手帳についても関係情報の追加等の環境整備を進め、マイナンバーカードが身体障害者手帳としても使えるよう、同実行計画の早期実現に向けて取り組んでください。 Ⅱ.情報アクセシビリティの推進に関することについて  何よりも障害者の社会参加の促進には、障害特性に応じた情報のアクセスとコミュニケーションが確保されなければならないと考えます。そうしたことからも、令和4年5月19日、衆議院本会議において「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案」が全会一致で可決成立したことに対し、心より感謝いたします。同法第1条目的に明示された“すべての障害者があらゆる分野の活動に参加するための情報の十分な取得利用と円滑な意思疎通に係る施策を総合的に推進し、共生社会の実現に資する”ものとして大変期待しています。  今後、同法が社会において受け入れられ、円滑に運用されるよう、法律の周知啓発とともに、施策の実施に必要な法制上・財務上の措置等が講じられるよう、ご理解、支援の程よろしくお願いいたします。   以 上