令和6年11月21日 自由民主党 政務調査会長  小野寺 五 典  様 参議院幹事長  松 山 政 司  様 組織運動本部長 小 渕 優 子  様 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 会長 阿部 一彦  令和7年度予算・税制等に関する日身連の要望について  平素より障害者施策の推進にご尽力賜りまして、深く感謝申し上げます。  障害者権利条約の批准から総括所見が示されたなかにおいて、私ども日身連が、一貫して求めてきたことは、障害を理由に分けへだてられることなく、個人の尊厳が尊重され、安全で安心できる地域共生社会の実現です。その実現のために、特段のご支援ご理解を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。 記 T.令和7年度予算等に関することについて 1.総括所見を踏まえた障害者基本法の見直しが求められます。平成23年の改正時に残された課題(差別の定義、救済機関の設置等)を含め、十分な議論を行い、障害者基本法の見直しを行っていただきたい。 2.本年1月の能登半島を中心とする地震と9月の豪雨により、現在も被災地では障害のある人や支援者の方等が、なお困難な状況のなかで避難生活を余儀なくされています。一日も早く復旧復興がなされますよう、以下について検討いただきたい。  ・自治体は、障害者団体等との十分な連携のなかで、ニーズを把握するとともに、支援を講じていただきたい。また、被災者支援に入っている信頼できる障害者団体等への個人情報の開示を検討いただきたい。  ・障害者支援事業所においては、施設の損壊に加え、運営上の困難に直面しています。そうしたなかで、再開、再建に向けて取り組んでいる事業所への財政的支援を含め、現状に則した支援を講じていただきたい。  ・避難所での生活においては、ご本人の状況や障害特性等に配慮した対応を検討していただきたい。併せて、遠隔地に避難した障害のある人等が被災地で生活再建を希望するときは、障害特性等への配慮を含め、適切に支援を行っていただきたい。 3.第5次障害者基本計画においては、世界に誇れる共生社会の実現を目指し政府全体で取組を進めていくことが示されています。当該基本計画の着実な実施と目標値の達成とともに、未達成の指標については、その課題を明確にし、課題解消に向けた検討が行われることを求めます。加えて、地方障害者計画及び障害福祉計画、障害児福祉計画についても、地域の理解のもと、着実に実施していただきたい。 4.障害者の孤独・孤立の防止にむけ、障害者の社会参加の活動は必要不可欠です。障害者福祉の充実・向上を進める上において、個々の障害者の声を代弁し、障害者の社会参加の活動を推進している障害者団体の役割は極めて大きいと考えます。しかし、活動の実績や貢献度に反し、自助努力で障害者団体活動の財源を確保することが極めて厳しい現状にあります。そうしたことから、障害者団体の活動活性化のための財政的な支援措置を講じていただきたい。 5.障害者相談員制度については市町村により取組に大きな格差が生じています。地域で暮らしている障害者にとって、ピアサポーターである障害者相談員の寄り添う相談活動は極めて重要です。市町村から障害者相談員への情報共有や連携した相談活動を十分に行えるよう、市町村への周知徹底とともに、都道府県並びに市町村の予算等のバックアップを含め、障害者相談員の身分等法制度の充実強化を図っていただきたい。 6.障害者差別解消法や障害者雇用促進法の改正等により、社会において障害に対する理解啓発の促進が期待される一方、依然なくならない偏見と差別に対し、地域行政主導のもと、障害者団体と連携し、障害に対する正しい理解啓発に取り組んでいただきたい。 また、障害のある人の自立促進を図る上でも、当事者の視点に立ち、将来を見据えて、一人ひとりが活躍できる働く場の確保と職場環境の一層の整備を促進させ、雇用・福祉施策の一層の連携強化を図っていただきたい。 7.障害のある人の視点を踏まえ、地域社会の環境整備(街づくり)に取り組んでいただきたい。 移動手段の改善(JR等の運賃割引の要件緩和、福祉有償運送サービスや路線バスの減少等)、駅の無人化問題、公共施設や公共交通機関の建設や改修工事(設計・施工段階から)においては、予算措置を含め、地域の障害のある人等が参画できる仕組が必要です。 また、地方自治体における条例は、それぞれ独自の基準によりバリアフリー整備が実施されるため、地域間格差やバリアフリー法の対象となっていない施設のバリアフリー化が進んでいない状況等が散見されます。日頃から不便を感じている障害のある人等の参画により、地域間の格差なく真のバリアフリー化を進めていただきたい。 8.通信環境においては新しい技術が開発され新たな取組(活動)が期待されます。障害を理由に取り残されることなく、かつ障害特性に配慮した環境を構築することが必要と考えます。社会生活を支える基盤と捉え、適切な対策を検討いただきたい。 (事例)・不十分なインターネット環境(Wi-Fiが使えない)の整備 ・障害特性に配慮したパソコンやスマートフォン、タブレット等の操作等に 関するサポート体制の充実 ・機器の操作等に関するコミュニケーションツールの開発促進 9.誰もが等しく情報にアクセスできる環境を整えることは、障害者団体にとっても極めて重要です。団体活動の上で、情報保障の観点から意思疎通支援に対しては積極的に取り組んでいますが、現在、制度上の仕組において団体への直接的な財政的支援がありません。国及び地方行政を補完する事業活動を行ってきた障害者団体に対する財政的措置が講じられるよう検討いただきたい。 10.本年12月2日から現行の健康保険証が廃止となるが、障害のある人にとり、マイナ保険証が抱える問題が解決できないままであることに大きな不安があります。障害特性に配慮されていない実情に加え、障害者施設での管理、意思決定が困難な方等への支援対策等大きな問題が残されています。こうした問題を解消して、障害特性に配慮しつつ、誰もが使いやすいものとなるよう検討いただきたい。 U.税制に関することについて 近年の物価高騰により日常生活に大きな影響が生じています。障害のある人の生活が困窮しないよう、所得税、相続税、住民税、固定資産税、自動車重量税等に関して、負担軽減となるような減免対策を講じていただきたい。 以 上