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新年のごあいさつ
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
障害者権利条約の採択から日本が条約に批准するまでの間、日身連はじめ、多くの障害者団体や障害関係団体、そして、何よりも障害当事者の方々が、長い時間をかけて議論を重ねながら、改正障害者基本法、障害者総合支援法、障害者差別解消法といった法律を作りあげました。また、障害者権利条約の理念でもある私たち抜きに私たちのことを決めないでという意志を、政策協議する場の仕組みとして構築することも、私たちの大きな目的の一つでもありました。そうした運動が、大きな変革の波を作り権利条約を批准させたことは、大きな喜びとして私たちの記憶に残るものとなりました。
特に、昨年4月に施行した障害者権利条約の理念である障害者差別解消法は、その目的を、障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合い共生する社会の実現に資するとしました。また、障害は個人の心身機能によるものではなく、社会的障壁との相互作用による、いわゆる障害の社会モデルと定義づけ、差別とは不当な差別的取扱いと合理的配慮の不提供だと定めました。そういったことからも、差別解消法を大きく育て地域に根づかせていかなければなりません。しかしながら、その期待に反して、法律に対する認識の広がりがあまり進んでいないことが見受けられます。私たちひとりひとりが、意識して、障害に対する正しい理解を地域社会へ広げていかなければなりません。
その一方で、災害時における障害者支援についても、同様に当事者の方の声を反映させた支援がきちんと行われるようにしなければなりません。東日本大震災や熊本地震によって今も、支援を必要としている方々がおられることは極めて深刻なことと捉え、その方々が安心して日常の生活を取り戻せる環境が整えられるように、日身連は、国などへの働きかけを続けていかなければならないと思うところです。
今まさに、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の開催に向け、官民一体となって、ユニバーサルデザインの社会の実現をめざす機運が高まっています。政府は、その実現に向け、障害者の声を反映した施策が実行できるよう動き出しているところです。
全国に組織をもつ連合会です。その組織力をもって、ネットワークの輪をさらに強固にし、私たちが地域社会に対して担うべき役割として、障害者差別解消法が大きく育つよう、綿密な連携のもと、協力して取り組みを進め、共生社会の実現に向けて、ともに頑張ってまいりましょう。
すべての皆さまのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。
2017年(平成29年)元旦
社会福祉法人日本身体障害者団体連合会
会 長 阿部 一彦(あべ かずひこ)